石田衣良: 40 翼ふたたび



IWGP 以外の石田衣良を読むのは久しぶりだな。最近の石田さんは甘ったるかったり無駄なエロティシズムに走りすぎたりとあんまり好きではなかったんだけど、この作品はなかなか面白かった。

広告代理店を辞めて独立した40男が、事業の足しになればと思って始めた「なんでもプロデュース」に運び込まれる様々な依頼を解決していくというストーリーなんだけど、まあ端的に言うと IWGP のおっさん版という感じ。ただやはり IWGP と違うのは、登場人物が軒並みアラフォーと言うことで、IWGP のような若くてみずみずしい姿の代わりに、リストラとか、銀行での出世戦争とか、はたまた癌で余命幾ばくもない男の話とか、どちらかというと暗い話題が多かったように思う。しかし、そんな暗い状況にも負けずに何とか少しでも頑張って欲しいという筆者の思いは伝わってきたし、この本で勇気づけられる人もいるんじゃないだろうかと思う。

相変わらずちょっと甘いと思うところもあるが、まあこれはこれで楽しめたしよかった。やはり石田衣良はこういう作品の方があっているのでは。

方向幕

この言葉にピンと来るあなたはもしかしたらマニアかも!?

方向幕というのは、電車やバスでよく見かける行き先を表示する巻き取り式の装置のこと。小さい頃この方向幕がすごく好きで、電車が終点で折り返すときに行き先を示す表示がぐるぐると回る姿をずっと眺めていたのを思い出す。中でもお気に入りだったのが親の実家・佐渡で走っていたバスの手動の方向幕で、終点につくと運転手さんがおもむろにくりくりと巻き出す姿がとても印象的だった。

が、この前駅で電車を待っていた時、やってくる電車がどれもこれもLED式の行き先表示器を有していて、メカニカルな方向幕を有する電車・バスがめっきり減ったなぁと、ふと思ってしまった。そういえば東急も京王も最近はほとんどLED式で、それもかつては黄色一色しか出なかったのが、最近じゃRGB対応 (8色ぐらい出せるのかな?) で白まで表示できてしまうものにどんどんリプレースされている。おまけに駅の電車の案内板もことごとくLED化されていて、かつてよくあったパラパラめくられる方式の表示板などどこへ行ってしまったんだろうという感じ。あの形状の表示板というと空港でよく見かけたものだけど、成田も羽田もとっくの昔にLEDに移行していて、あれにお目にかかれる場所というのは本当に少なくなってしまった。

電子的な表示板を用いるのにはやはりそれなりのメリットがあるからに他ならない (コンテンツの入れ替えが容易、表示方式が柔軟に切り替えられる、機械駆動する部品が少ないので壊れにくい等) が、やはりくるくる回る方向幕が消えていってしまうのは個人的には非常に残念。

そのうちこうした装置を知らない世代も出てくるんだろうな、、、。

桜花賞



いやー、ブエナビスタは強かった。

今回はアンカツは最高にへたくそに乗ったと思う。馬が勝手に行ってしまったのかも知れないが、4コーナー出口で突如インに進路を変えて前がふさがるような不利があり、一瞬「負けた!」と思う場面もあった。が、そこから全馬を捉えて最後は脚色の衰えないレッドディザイヤを着差をきっちり交わすんだから、すごいとしか言いようがない。並の馬だったら完全に負けているレースだし、飛び抜けていると分かっているからこそのレース運びだっただけに、この馬の強さだけが際だっていたように思う。

馬券も当然 (無難すぎ?) ブエナビスタ1着固定の流し。ただし相手については正直直前まで悩みに悩んだ。本来は3連単流しにしようかと思っていたのだが、相手本線とにらんでいたダノンベルベールがまさかの -8kg。これで完全に自信を喪失して急遽馬単に変更。が、これが功を奏して何とかトントンで納めることが出来た。(ってかなり弱気だが。。。)

2着のレッドディザイヤもブエナビスタ以外には完勝だったし、オークスもこの2頭でほぼ決まりかな。あとは今日の忘れな草賞の内容がよかったデリキットピースあたりにも期待したい。

練習 2009/4/11

@東京体育館

fr 800x1
fr 200x3 3'10"
fr 50x2 50"
down 100

total 1600

調子はまずまず。東京体育館効果 (周りが全体的に速いので流れに乗れる) もあったけど、200 も普通に 2'55" ぐらいで帰ってきてまだ余裕があるぐらいだった。ただ最後の 50 ではあんまり力が入らずちょっとグダグダになってしまった。。。

いよいよ来週はまた大会。前回よりはいい感じで来ているので、少しはいいタイムを出したいところ。


安部芳裕: 金融のしくみは全部ロスチャイルドが作った



18世紀に巨額の富を築いたのがロスチャイルド家。現代にはびこる市場原理主義による社会の歪みを、彼らが考案した金融のシステムに根本原因があるとしてそのからくりを説くとともに、それを支え続けた一派の陰謀という切り口で糾弾している本。

まあ、何というか、この本をまともに鵜呑みにすれば非常に空恐ろしいことが起こっていると言わざるを得ない。が、読めば読むほど筆者の誇大妄想なんじゃないかという気がしてきてしまう。怪しげな文献を根拠に陰謀説を唱えたり、非常に細い線をたどってたどってようやくたどり着くような関係を見て「ロスチャイルドの息がかかっている」と指摘したりと、まともに信じるには論拠が薄いところがいくつかある。特にケネディの演説のくだりなんかは、読みようによってはどうとでも取れる内容を、彼の主張にとって都合のいいように解説していて、本当にこの本を信じていいの?というような気になってしまう。

とはいえ、資本主義が基本的に強者が弱者から搾取することによって成り立っているという主張については同意出来るし、そこから抜け出すための施策の一部については納得できる。むしろ、それが言いたいがために、半ば強引におどろおどろしい陰謀説のようなセンセーショナルな話題を取り上げたのかも知れない。そのためには今の金融の仕組みに頼らずに自分の身を守る方法についても考えておかなければならないだろうなぁ、とは思う。

それなりに読み応えはある内容だが、読んでると暗い気持ちにもなるので、あんまりおすすめは出来ないかな。

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