
IWGP 以外の石田衣良を読むのは久しぶりだな。最近の石田さんは甘ったるかったり無駄なエロティシズムに走りすぎたりとあんまり好きではなかったんだけど、この作品はなかなか面白かった。
広告代理店を辞めて独立した40男が、事業の足しになればと思って始めた「なんでもプロデュース」に運び込まれる様々な依頼を解決していくというストーリーなんだけど、まあ端的に言うと IWGP のおっさん版という感じ。ただやはり IWGP と違うのは、登場人物が軒並みアラフォーと言うことで、IWGP のような若くてみずみずしい姿の代わりに、リストラとか、銀行での出世戦争とか、はたまた癌で余命幾ばくもない男の話とか、どちらかというと暗い話題が多かったように思う。しかし、そんな暗い状況にも負けずに何とか少しでも頑張って欲しいという筆者の思いは伝わってきたし、この本で勇気づけられる人もいるんじゃないだろうかと思う。
相変わらずちょっと甘いと思うところもあるが、まあこれはこれで楽しめたしよかった。やはり石田衣良はこういう作品の方があっているのでは。