18世紀に巨額の富を築いたのがロスチャイルド家。現代にはびこる市場原理主義による社会の歪みを、彼らが考案した金融のシステムに根本原因があるとしてそのからくりを説くとともに、それを支え続けた一派の陰謀という切り口で糾弾している本。
まあ、何というか、この本をまともに鵜呑みにすれば非常に空恐ろしいことが起こっていると言わざるを得ない。が、読めば読むほど筆者の誇大妄想なんじゃないかという気がしてきてしまう。怪しげな文献を根拠に陰謀説を唱えたり、非常に細い線をたどってたどってようやくたどり着くような関係を見て「ロスチャイルドの息がかかっている」と指摘したりと、まともに信じるには論拠が薄いところがいくつかある。特にケネディの演説のくだりなんかは、読みようによってはどうとでも取れる内容を、彼の主張にとって都合のいいように解説していて、本当にこの本を信じていいの?というような気になってしまう。
とはいえ、資本主義が基本的に強者が弱者から搾取することによって成り立っているという主張については同意出来るし、そこから抜け出すための施策の一部については納得できる。むしろ、それが言いたいがために、半ば強引におどろおどろしい陰謀説のようなセンセーショナルな話題を取り上げたのかも知れない。そのためには今の金融の仕組みに頼らずに自分の身を守る方法についても考えておかなければならないだろうなぁ、とは思う。
それなりに読み応えはある内容だが、読んでると暗い気持ちにもなるので、あんまりおすすめは出来ないかな。