香山リカ: しがみつかない生き方



精神科医でTVのコメンテーターなどでもおなじみの香山リカさんの本。かなり売れているらしい。

精神科の臨床に身を置く香山さんがここ10年ぐらいで感じているのが、一見普通に幸せに見えるにも関わらず自分が幸せでないことに悩んでいる人が多いということ。そうした患者さんの1つの傾向として、がむしゃらに頑張らないと幸せを手に入れることができないんだという強迫観念にとらわれすぎて頑張りすぎてしまうことがあるとしている。さらに頑張った結果成功を収めた人を周囲が賞賛しすぎるあまり、成功できない自分にまるで生きる価値がないかのような錯覚を覚えてしまうような風潮があるということも問題であると筆者は述べている。その典型例として、香山さんは最近の「勝間和代ブーム」に警鐘を鳴らしている。みんながみんな勝間さんのような生き方をしなければならないというわけでもないし、そんな能力のある人なんてごく一部であるというのに、勝間さんの考え方をまねしないと成功できないんだと思い込んではいけない、というのが香山さんの主張らしい。

過ぎたるはなお及ばざるがごとしという言葉があるように、何でもいきすぎというのはよろしくない。この本に書かれているような、たとえば恋愛に依存しすぎたりだとか、きらびやかな成功を追い求めすぎないとか、そういうことは世知辛い世の中を生き抜いていく上では必要な考え方だろうと思う。

もっとも、全く頑張らなければ何も改善されない。ちょっと頑張るけど自分の身の丈以上には頑張らない、そしてそういうありのままの自分を受け入れることができる人間というのが、結局は幸せな人生を送れるのではないだろうか。たとえ社会的に大成功を収めてなかったとしても。

精神科医としての立場で書かれているだけに、ちょっと偏った見方をしている部分もあるとは思うけど、ふと息を抜いて読むにはちょうどいい本だと思う。

伊坂幸太郎: 陽気なギャングの日常と襲撃



自分が初めて伊坂幸太郎を読んだのが「陽気なギャングが地球を回す」で、それ以来伊坂幸太郎がとても好きになったんだけど、その思い出の作品の続編がようやく文庫化。

相変わらず強盗を続けている4人組だけど、前半は強盗と全然関係ない日常の話が続く。作品も半ばにさしかかったところでようやく強盗事件を起こすのだけど、実は同時に強盗と全く関係のない誘拐事件が起こっていたことを知って、攫われた娘を助け出しにいくというのが大まかな話の筋。

後書きを読むと、前半は最初は全く独立した短編集として書かれていたようだけど、お互いに絡み合っているし、かつ強盗事件の伏線にもなっていてこれはこれでなかなか面白い。カジノに乗り込んでから結末までがやけにあっけなかった気はするけど、さすがに伊坂さんだけあってまさにあっというような裏をかいてくれてとても清々しかった。

伊坂さんはユーモアあふれるキャラクターとハードボイルドな感じの作風の融合という一見して取り合わせが悪く思えそうな要素を見事に融合して、こういうコメディ的なミステリーを作るのが本当にうまいよなぁ、と思う。またほかの作品も読んでみたい。

iMac 購入

ここ1年ぐらい、どうにもPCの調子がよろしくなくて、ずっと新しいPCを欲しいなぁと思ってたんだけど、ついに買ってしまいました。

20インチ iMac (MB417J/A)。

買って3日目なので、まだまだ慣れない部分も多いけど、みんなが言うようにやっぱり Mac は触っていて楽しい。それぞれの操作に対する画面のエフェクトはとても秀逸だし、UI も Windows と比べて洗練されている気がする。UNIX ベースであるというのも、自分にとっては馴染みやすい要因になっているし。

前のが Athlon64 2000+ とかいう CPU だったこともあって、Core 2 Duo 2.66MHz も非常に軽快に感じる。この CPU に 2GB Memory + 20インチディスプレイで11万弱というのは、とてもお買い得に感じる。

ただ、これまでとあんまり大きく変わってしまうとストレスになるかと思って、メールも Web もデフォルトのアプリ (Mail.app や Safari) ではなく Firefox や Thunderbird を入れて使っている。また、iPhoto も自分には馴染みがないこともあっていまいち使い勝手がよくないように感じたので、これまで使っていた Picasa を併用するようにしている。iPhoto の方がアルバムを作ったりするのは楽しそうなので、余裕が出てきたらチャレンジしてみたい。

あとは、Snow Leopard (¥990 のをオーダー済み)、ATOK (ことえりの使い勝手を鑑みて買うか判断)、Time Machine あたりが今後の検討課題かな。

ちなみに、1点だけ悩んでいるのは、Windows で使っていた USB のヘッドセットを認識してくれないこと。これはもうちょっと調べてみる必要がありそう。

神奈川マスターズ

100Fr: 1'06"48
50Fr: 29"46

いやー、ひどいタイム。このところ 100 では5秒を切れていなくて大変悔しかったのだが、まさか6秒もかかってしまうとは思ってもみなかった。色々言い訳したい要素はあるにせよ、このタイムはあまりにもみっともない。。。修行して出直します。。。

ちなみに順位はというと、これだけのタイムにも関わらずなぜかどちらも半分より上。しかも50に至っては、参加者が少なかったこともあってまさかの1桁着順 (9位)。これはちょっとうれしい。年齢を重ねてもそれなりに維持していれば順位も上がるということなのかなぁ。今年はもうこれで打ち止め?という感じだけど、これを励みにしてまた来年もがんばりたい。

上林憲行: サービスサイエンス入門



昨年のちょうど今頃だったと思うが、サービスサイエンスという考え方があるということを知り、いつか勉強してみたいと思っていたところ、たまたま府中の図書館にこの本があることを知り、読んでみた。

産業革命以降の社会では工業化が進められ、その土台としての基礎科学の重要性がよりクローズアップされた。その長い歴史の中で、基礎研究から工業へのフィードバックが行われるプロセスが確立され、大企業ではどこも基礎研究所を置くようになって久しい。一方で、第2次世界大戦以降第3次産業の隆盛は著しく、サービス業はいまや全産業の半分を占めるまでに成長したが、ことサービスという点に関しては属人性が大きく、工業のような体系づけられた理論というのが存在しない。そこでサービスについても同様の理論体系を確立できないか、という考えのもとに始められたのがサービスサイエンスという分野である。

とはいえ、サービスサイエンスという概念を最初に提案したのは、かの IBM。従って、サービスサイエンスは ICT がどのようにサービスを支え、そしてサービスに対するイノベーションを創出していくかという点が中心となっており、必ずしもサービス業全体を幅広くカバーした研究分野となっているとは言い難い。ただ、少なくともここ10年の動きを見る限り、ICT を利用しないで効率的なサービスを実現することは現実的でなく、その意味で ICT の功績を十分分析した上で、今後のサービス業に対する体系付けを行うということについては一定の需要もあるだろうし、成果が出てくることが期待される。

この本に関して言うと、入門と銘打っているだけあって、サービスサイエンスについて深く掘り下げるというよりは、これまでのサービスサイエンスの流れを summarize しているというような位置づけで、この分野を全体的に俯瞰して理解するという目的には適していると思う。ただ、いかにも学者さんが書いた本らしく、大変分かりづらいという側面も、、、。上林さんの頭の中では整理されているんだろうけど、それを単に吐き出すだけでは読者に対して背各なり会を与えるには至らない。説明の順番を変えたり使う言葉をもうちょっと選べばもっと分かりやすかったのにと思うとかなり残念。それと、全体的にサマリーという位置づけのせいか、これまで ICT サービスで成功を収めてきた企業についてのレビューに多くのページが割かれており、それを理論と結びつけるとなるとどうしても後付けなんじゃないかと思えてしまうのも残念。

サービスサイエンスについての重要性は何となく理解できた気がするので、もうちょっと深く掘り下げた本も読んでみたいところ。

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