奥田英朗: ガール



奥田英朗の短編集。

5本の作品が収録されているが、主人公はいずれも30代の働く女性。同じ年代の女性とはいえ、周囲の環境も違えば与えられた境遇も大きく違うが、女性というだけで苦労することが多いというのは共通したテーマ。そんな苦労の姿をリアルに描いた作品に仕上がっている。

中でも最初の「ヒロ君」はかなり強烈だった。過程では旦那よりも稼ぎが多いという悩みを持ちながら、会社では男尊女卑きわまりない年上の部下を持つようになったという苦労を抱えるというのは本当に大変だろう。こうしたシチュエーションは古典的な日本企業では十分にあり得るだろうし、読んでいるだけで胸が痛くなる。でもそんなダブルに悩ましい状況を乗り越えていく姿を見るとちょっとだけすかっとした気分になった。

ほかの作品もそれぞれ印象的で、大変面白かった。まえまえから読みたいと思っていた作品ではあるが、予想よりも良かったと思う。

中村俊輔: 察知力



サッカー日本代表の中村俊輔が昨年出した本。

中村俊輔というと、どちらかというと物静かな感じだし、テレビなどで報道されている「あまりほかの選手と遊んだりしない」的なイメージが先行していて、自分の中では孤高の天才というふうに捕らえていた。

しかし、彼が中学時代に味わった挫折がこうしたストイックなまでの自分に対する追い込みを課しているきっかけとなったというのを読んで、ちょっと彼に対する見方が変わった。

小さい頃からサッカーの天才の名を欲しいままにしていた彼が、個人プレーに走りすぎるあまりチームから外され、あげくユース行きも断念して入った高校では当然のように球拾い。ユースと比べて天と地とも差があるような境遇に陥って初めて、サッカーでは周りとあわせることが非常に重要であると気づき、そして彼のいう「察知力」を高めていくことが大事だという信念を持つに至ったというのは大変興味深い。

監督が自分に求めていること、チームが自分に求めていること、そしてチームメイトがどうしたいのか、というようなことを一生懸命考え、それに経験を加えていくことで人より一歩でも先に動く。こうしたたゆまぬ努力こそが彼をトップ選手にさせているゆえんでもあろう。

「壁は多ければ多いほど欠点に気づけて良い」なんて、なかなかいえることではないし、それを実践するのは並大抵ではない。それでも自分を高めていくためには困難な状況すらも前向きに捉える考え方が重要であるというのを俊輔に教わった気がする。

また、代表で当時中田英寿とポジションがかぶったりして、トルシエからは冷遇されていた頃、よく中田と比べられたようだが、そうした場合にも「人と比べても仕方ない。自分は自分の出来ることを精一杯やるだけ」という思いで冷静に対処したというのもなかなかすごいと思う。このあたりは以前読んだ松井秀喜の「不動心」とも通じるところがあるように思う。

自分は恥ずかしながらサッカーについてはあまり詳しくないにも関わらず、彼のいっていることは十分に理解できてとてもためになった。サッカーが好きな人だったらもっと面白く読めるかも知れない。

安田記念



安田記念を制したのは単勝1.8倍と圧倒的な支持を集めたウオッカ。

いやー、本当にこの馬は強いねー。

直線で前が壁になったときは絶対に負けたと思ったけど、あそこから前を無理矢理こじ開けて来るんだから。ディープスカイもがんばったとは思うが、この競馬を見せられたら完敗といわざるを得ないだろう。

馬券的には一応当たって入るんだけど、取り損。まあ、この組み合わせで決まったら配当が少ないのは織り込み済みだったが、戦前は馬連2.9倍が示すほど堅いと思えなかったし、あまりたくさん買いたくなかったんだよね、、、。馬券的にはかなり下手な買い方。。。

本命に推してたスーパーホーネットはラスト200ぐらいまではよかったけど、ウオッカにはじき飛ばされて(?)からはいいところがなかった。あそこでやる気をなくしてしまったのか、、、。

いずれにしても、前の2頭はやはり抜けた存在だったね。2頭とも前が詰まるようなところがあってのこの結果だから、やはりほかの馬が入る余地はなかったかな。ディープスカイはもっと長い距離のほうが適正があると思うし、その意味で宝塚記念もほぼこの2頭で決まりそうな感じ (出てくれば、だけど)。

練習 2009/6/5

@東京体育館

up 400
fr 200x4 3'15"
fr 50x6 40"+15"
down 100

total 1600

またも1週間空いてしまった。今週は夜に電話で呼ばれたり21時から conf call が急きょ入ったりと意外に忙しく、なかなか練習に行けなかったからなぁ。

今日も若干疲れが溜まり気味の中での練習となってしまい、エンジンがかかるまでちょっと辛かったけど、予定してたメニューは一通りこなせたし、泳ぎ終わった後はすっきり感が残ったので、そこそこ満足できたかな。

来週はちょっとは落ち着きそうなので、今度こそ週2練習を再開したいなぁ。


ダン・ブラウン: 天使と悪魔



最近映画も公開されたこの作品だが、あえて原作の方を読んでみた。

めまぐるしく変わる場面展開。派手な仕掛けもありながら実は知的で緻密なトリック。そしてどんでん返しに次ぐどんでん返し。まさにハリウッド映画を地でいくようなスペクタクル。

エンタテインメントとしての演出も非常に秀逸なのに、ヴァチカンに関する記述とか芸術作品に関する描写など、非常に勉強になる部分もあったし、非常に興味のそそられるストーリー展開なので、訳本ではあるけどかなりいいペースで読めた。

殺人が起こる場面ではちょっとグロテスクすぎる感じもしないでもないが、まあ許容範囲かな。

映画ではおそらく実際の美術作品とか舞台となった建物なんかも出てくるだろうし、本とは違った意味で楽しめそうな気もするので、本を読んだ後でも映画を見たいなぁという気になった。

ダ・ヴィンチ・コードもそのうち読んでみたい。

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