山下貴史: 3分でわかるラテラル・シンキングの基本



ということで、新年1発目から早速実用書を読んだ。

「ラテラル・シンキング」は「ロジカル・シンキング」と対比して使われる考え方。ロジカル・シンキングが正しいと思われる事象を1つ1つ積み上げていって結論を出すのに対し、ラテラル・シンキングは前提条件を疑ってみたり物事を別の観点で見てみたりすることで、新しい道を切り開くために使われる考え方らしい。ロジカル・シンキングが縦方向への展開であるのに対し、この方法では横方向への展開が可能なため、水平思考とも呼ばれるらしい。

ロジカル・シンキングは思考の基本中の基本ではあるが、閉塞した状況に陥ったときにラテラル・シンキングを取り入れると打開策につながることが多いというのは自分の経験からも感じていること。この本で触れられている例には自分でも既に実践できていることもいくつかあるが、たとえば発想の転換に MTBI のようなものを使ったことは今までないので、こうした考え方は非常に勉強になった。

マーケティング的なネタがちょっと強すぎる感はあるけど、自分の仕事にも十分応用できそう。

東野圭吾: 11文字の殺人



ついに東野圭吾在庫一掃セール (?) も最後。

この作品は氏のかなり初期の作品。ハラハラ感は少ないが、正統派の本格推理ものという感じで、読み応えはある。この頃の作品でも読みやすさは相変わらずで、一気に読み切ることが出来た。

とても面白かったが、東野圭吾ばかり読み過ぎてちょっと食傷気味、、、。この間に小説でない本 (実用書とか) も結構購入して積ん読になってるので、年明けはこちらを読み進めていきたい。

東野圭吾: おれは非情勤



さて、またまた東野圭吾。

この本は小学校を舞台にした短編集。主人公である「おれ」は非常勤講師で、産休や病気療養で長期休暇を取る先生の代用としてはたらいしている。基本的に子供が好きなわけではなく、教育に対しても熱心ではないので、短期間で学校を転々とするというスタイルが性に合っているという人物像。そんな「おれ」が学校で起こる様々な事件を解決していく、というストーリー。

実はこの一連の作品は学研の学年別雑誌に連載されていたものらしい。こういう雑誌に東野圭吾が作品を載せるというのも意外ではあるが、それゆえ東野圭吾らしいどろどろしたところはあまり描かれていない。ただ、短編ということもあって作品のかなり早い段階で謎が提示され、非常に速いテンポでストーリーが展開していくのは読んでいて小気味がいい。

小学生がミステリーの面白さを感じて読書に関心を持ってもらうには非常にいい作品になっていると思う。

余談だが、後付の解説に、PTA から「殺人や浮気を小学生向け雑誌で扱うとは何事か」と難癖をつけられたというエピソードが書かれているが、こうした枝葉末節の肉付けにこだわる過剰な反応は自分も全くナンセンスだと思う。

東野圭吾: 怪笑小説



さらに東野圭吾は続く。

こちらは以前読んだ「黒笑小説」の先行作品で、このシリーズの第1作。短編集ではあるが、どの作品にもとげがあって、東野圭吾ならではのウイットに富んだ作品となっている。

個人的に一番好きだったのは、冒頭の「鬱積電車」。人間余裕がなくなると自分のことばかり考えて周りのことは一切考えられなくなるようになるものだが、そんな人ばかりが電車に乗り合わせたらこんなことになるだろうなぁというのが容易に想像できるし、このあとの展開を想像すると思わず笑ってしまう。

作者があとがきで最も思い入れが強いと書いている「動物家族」もなかなか良くできた作品。こんな家族の元に産まれたくない世なぁ、と言うのが率直な感想だが、肇の境遇を考えると悲しくなってしまう。

半分コメディーでもあるのだが、つぼを外さない東野圭吾の才能には本当に脱帽する。どんなジャンルを書いてもうまいんだからなぁ、、、。

まだ読んでいない「毒笑小説」という作品もあるので、こちらも折りを見て読んでみたい。

東野圭吾: 宿命



東野圭吾強化月間の続き。こちらは氏の比較的初期の作品。

タイトルにもあるように、主人公・勇作とその宿命のライバルとも言うべき晃彦。小中高と常に反目していた2人が、10余年の時を経て、殺人事件を捜査する警察官と、被害者の関係者という立場で再開を果たす。決して自由な裁量が与えられているわけではない中で、かつて闇に葬り去られた事件との関連を調べ、徐々に核心に迫っていく勇作と、誰にも心を開かないが限りなく怪しい晃彦。やがて事件は解決するが、その裏には驚くべき事実が、、、。

物語のほとんどが勇作と晃彦の対決という形で描かれているので、一見すると善と悪という構図に見えてしまうが、終章で明かされる衝撃の事実によって実はそんな先入観すら間違っていたことが判明する。最後まで読むと晃彦という人間を受け入れられるようにすらなるんだから、この展開はすごいとしか言いようがない。

晃彦にもっと緻密でしたたかな計算をさせると白夜行や幻夜のような感じになるんだろうけど、そうではないことで逆に最後までほのぼのとした感じが続いたのはよかった。ただ、それゆえにちょっとパンチがないような気がしたのはちょっと残念だったかな。

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