
さらに東野圭吾は続く。
こちらは以前読んだ「黒笑小説」の先行作品で、このシリーズの第1作。短編集ではあるが、どの作品にもとげがあって、東野圭吾ならではのウイットに富んだ作品となっている。
個人的に一番好きだったのは、冒頭の「鬱積電車」。人間余裕がなくなると自分のことばかり考えて周りのことは一切考えられなくなるようになるものだが、そんな人ばかりが電車に乗り合わせたらこんなことになるだろうなぁというのが容易に想像できるし、このあとの展開を想像すると思わず笑ってしまう。
作者があとがきで最も思い入れが強いと書いている「動物家族」もなかなか良くできた作品。こんな家族の元に産まれたくない世なぁ、と言うのが率直な感想だが、肇の境遇を考えると悲しくなってしまう。
半分コメディーでもあるのだが、つぼを外さない東野圭吾の才能には本当に脱帽する。どんなジャンルを書いてもうまいんだからなぁ、、、。
まだ読んでいない「毒笑小説」という作品もあるので、こちらも折りを見て読んでみたい。