連日の事業仕分けの報道を見ていて、お金の使い方って本当に難しいよなぁ、と改めて感じている。
これまでの自民党長期政権の中で、硬直化した官僚組織が大いなる無駄を生む構造となっていたことについては議論の余地はないだろう。そうした無駄を取り除くために聖域をなくして踏み込んでいくという努力は大切なことだと思う。実際、事業仕分けの結果中止や予算削減と判定されたものの多くに無駄が潜んでいたようにも見えるし、こうした活動をきちんと国民に見せる努力をしているというのは自民党時代にはなかったことだろうから、一定の評価はしてよいだろうと思っている。
しかしその一方で、公平性を重視するあまり、節操なく減らそうとしているように見える点はちょっと残念に思う。特に、教育や研究開発の分野についての削減が連日新聞やテレビを賑わしている点は自分も残念だと思う。もちろん、この分野においても無駄が多くあるだろうという点は否定しないし、その意味でメスを入れること自体は有意義だろうとは思うが、これらの分野が10年後、20年後の日本を作っていくための先行投資であると考えるのであれば、単なる削減ではなく、まず先に将来のビジョンを打ち立てた上で「選択と集中」を行うという発想が必要なのではないだろうか。何となく、いまはとにかく一律に削減するぞという点のみがフォーカスされていて、では削減したお金をどこに「集中」して投資していくのかという点がいまいちはっきりしないように見える。政治の役割というのは、日本という国家の舵取り役であるとも言えるわけだが、であれば今後日本がどういう方向に向かっていくべきなのか、政府なりのビジョンを見せて欲しいところではある。
ところで、将来のビジョンが見えないという点では、現在の不景気についても同様だ。昨今の不況を見ていると、日本の製造業の不振が大きく影響していると思われるが、結局のところ製造業の現場が単純作業に成り下がってしまっていて、人件費の競争というレベルに落ちてしまっていることが原因なんだろうと思う。日本はこれまで製造業に大きく依存して成長してきたわけだが、それでうまくいかなくなったのは、ひとえに製造業では他国と比べた場合の付加価値をつける力がなくなってきてしまったことが大きな要因なんだろうと思う。この状況を打破するには、製造業でもっと多くのアドバンテージを出していくやり方か、もしくは製造業でない他の分野をのばすような方策を考えるかのどちらかになるだろう。しかし残念ながらどちらの方向へ舵を取るべきか、政府もよく分かっていないような気がする。(もっとも、自分もはっきりとは分かっていないが)。いずれにしても、もっと、日本でないと出来ない何か、しかも世界各国からもとめられるような何かを見つけていかないと、現状の不景気から脱却することは難しいだろう。それを政治に求めるのはもしかするとお門違いなのかも知れないが、少なくとも世界恐慌の際のニューディール政策や、池田勇人首相の所得倍増計画など、かつて国の進むべき方向性を政治主導で打ち立てて成功した事例もあるわけだから、このような難しいときだからこそこうした部分でも政治家にもっと頑張ってもらいたいし、自分ももっと深く考えていかないといけないだろうと思う。
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