
政治学者の姜尚中さんが、自身の敬愛する夏目漱石やマックス・ウェーバーの書物を引用しつつ、本気で悩むことを推奨している本。
この本では漱石やウェーバーが活躍した約100年前と現在の状況を比較している。自由を得たはずの市民がその自由さ故に進むべき方向に悩み苦しんでいるのは、いまも昔も変わらないが、それ以上に社会が抱えている閉塞感みたいなものも実は似通っているのではないか、とする筆者の主張にはなるほどと思う部分も多い。
哲学的な本とも言えるが、生きると言うことを深く考えることが重要であるという姿勢を説いた本でもあるといえるだろう。
いろいろなテーマについて考えを披露しているのでちょっとまとまりなく感じるところもあるが、いろいろと考えさせられるという意味では有意義な本だった。