
金融商品を買うときには、商品構成、利子、リスクなど多岐にわたって考慮しなければならない事柄がある。これを怠ると、金融機関にぼったくり商品を売り込まれる可能性があるので、きちんと評価した上でだまされないようにするための考え方を、問題集形式で解説した本。
人にはそれぞれ得手不得手があるわけで、自分ではちゃんと考えているつもりでも考えが足りない部分はどうしても出てくる。その意味では、自分としてもこれまで考えてもいなかった視点から金融商品を見る目がちょっとだけでも養えたように思えるし、とても勉強になった。自分は大学で確率のお勉強をしていたのでその分野の問題はほとんどわかったけど、逆に金融商品の構造みたいなものは実経験がないので知識が乏しく、そのせいで金融機関にだまされかねないなぁ、というのが分かったのはとてもよかった。
とても勉強になったが、あえて悪い点を言うとすれば、この本は「こんな商品は買うな」という点を解説した本であって、「こんな選び方をするといいよ」的な話がほとんど出てこない点かな。この本だけ読んでいると、結局金融商品なんて1つも買えなくなってしまう。
とはいえ、昨今の「銀行に預けているだけじゃダメだ」「不労所得を得るにはそれなりの投資をしろ」的な論調とは一線を画しており、「向いてない人がいくら投資に走っても結局損をするだけ」というのはこれまでの自分の経験からも痛いほどよく分かるので、その意味では非常に良識的な本であるとは言える。
もちろん、銀行や証券会社をはじめ、各種金融機関にはそれ相応の言い分はあるんだろうけど、こうした観点で物事を見ていくことも必要なので、これから投信とか債券市場とかに足を踏み出そうという人は、読んでおいて損はないかな。
ちなみに余談だけど、この作者、「スタバではグランデを買え」の著者らしい。読み終わるまで気づきませんでした。。。「スタバ…」はタイトルがあまりにもキャッチー過ぎるのと「いくらお得だからといって飲み切れもしないグランデを買うのは逆に無駄なんじゃないの?」という想いがあって、どうにも読む気がおきなかっんだけど、今回読んだ本は論理的には的を得ているし結構よかったかも。「スタバ…」と同じ作者だと事前に気づいていたら読む気にはならなかったと思うだけに、やっぱり物事を先入観を持ってみてはいけないな、とちょっと反省。