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奥田英朗「サウスバウンド」



奥田英朗というと、「空中ブランコ」に代表される伊良部先生シリーズが真っ先に頭が浮かぶ。その奥田さんが今度は破天荒な父親というキャラ設定で書いた作品ということで、またもドタバタコメディーかと思って読んでみたが、、、。

コメディータッチではあるのだが、めちゃめちゃシリアスな内容。

過去の遺産を未だに引きずっている過激派とか、現代の小中学校に巣喰ういじめとか、都市と地方の格差とか、癒着が横行する地方政治とか、乱開発とか、一方で自己満足に陥りがちな環境保護とか、とにかく現代社会の抱える問題を一度に表現しつつも、自分の信念を貫き通すお父さんの軸に据えることでぶれのないストーリー展開になっているし、それを主人公である二郎の子供目線で書くことで万人に受け入れやすい作品になっている。

最初はぐうたらでただ反社会的な感じに書かれているお父さんが、最後にはあんなに頼もしく見えるというのもまたよい。サラリーマンをしているとどうしても日和見的な生き方をしてしまいがちだけど、自分をしっかり持って生きていくことの大切さなんかも感じることが出来た。

奥田英朗がこんな作品も書くんだということに驚きを禁じ得ないが、いずれにしても作者の思いが非常に詰まったとてもいい作品だった。

この作品、近々映画化される予定だけど、本を読んでいても場面の情景がすっと浮かんでくるような作品なので、映画も絶対面白いと思う。

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