
「空中庭園」「対岸の彼女」でおなじみ角田光代さんが、ひょんなことからイタリアでトレッキングをする羽目になった際の紀行文。
普通トレッキングといえば、ハイキングに毛が生えたような山歩きを思い浮かべるが、彼女がいきなり連れて行かれたのは雪の降り積もる岩山。それでも一緒にトレッキングをする仲間、登り終えた時の何とも言えぬ不思議な感覚、そして下山後の食事などを経て、徐々にトレッキングの素晴らしさを実感していく様子を見ると、自分もトレッキングに行きたくなってくる。(特に今年富士山に行けなかっただけに。。。)
特に印象的なのがガイドのマリオさん。イタリア人にして何故か敬虔な仏教徒なんだけど、キリスト教と仏教の決定的な違いとか、登山と仏教の共通点の話はすごく共感できる。
トレッキングに対してそれほど思い入れが深くない筆者が書いた本なので、山登りの描写はそんなに心打たれないのだけど、さすがに食べ物の描写は素晴らしい。イタリアに行って地元の肉料理が食べたくなること必至。
分量もかなり軽くて読みやすかった。