
この前読んだ「幸福な食卓」が面白かったので読んでみた。
表題「卵の緒」と「7's blood」の短中編2作品が収められている。「卵の緒」の方は、ふわっとした感じながらも人を愛するということの根幹に触れようという気概が感じられる作品。これがデビュー作らしいが、「僕は捨て子だ。」で始まる冒頭からしてセンスの高さを窺わせるが、それにもまして、何も大きな事件が起きないのに心を打つ作品になっているあたりが作者の才能の大きさを表している。もう一方の「7's blood」は悲しいお話で、でも七子と七生のバランスがとても絶妙に描かれているのがよい。お互いに違う方向を見ているようで、実は足りないところを補い合っているという感じもとてもよかった。
「幸福の食卓」と比べるとちょっと物足りないけど、まあでも十分面白かった。