
誰でも題名くらいは耳にしたことがあるアメリカの小説「ライ麦畑でつかまえて」。村上春樹が訳本を出した2、3年前からちょっと読んでみたいなぁと思っていたのだが、この度めでたくペーパーバック版が出たので読んでみた。
話としては、金持ちのぼんぼんでできそこないの16歳の少年のある冬の日の出来事を記したもの。まさにモラトリアムの典型というか、自分が出来損ないなことは棚に上げ、とにかく周りを非難しまくり。周りの人間がろくでもないやつばっかりだから自分の置かれている境遇がろくでもないのだと勘違いしている。こんなろくでなしでも友達でいてくれる人間や支えてくれる人間がいるにもかかわらず、そんな人たちすら裏切って生きている。そして、見たくないことには目をつぶり、都合の悪いことが起きると頭痛や吐き気を催すという及び腰。そんな彼でもこの日の出来事をきっかけにちょっとだけ立ち直りかけたところで話は終わる。
最後の方は割と共感がもてるものの、とにかく最初の方のホールデンの悪態は、読むだけでかなりむかっ腹が立ってくる。
人間誰しも通る道の極端なところを物語にした、という解釈をすればいいのだろうけど、どうにもこれが不朽の名作と呼ばれる所以が自分には理解できなかったなぁ。
10点満点で4点くらいかな。
余談だが、やれニートだ、下流社会だ、果ては「他人を見下す若者たち」だと言われている昨今。こういう人間はいつの時代にもいるもんだ、というのをこの作品が表していると思う。