
「このミステリーがすごい!」で満場一致でグランプリに選出されたということで読んでみた。
バチスタ手術という難手術で神かがり的な成功率を収めていたチームが立て続けに起こした「術死」の問題に、ドロップアウト気味の精神科医・田口と、厚生労働省の役人・白鳥がぶつかっていくというストーリー。
とにかく出て来る人間1人1人のキャラが濃く、それでいて大学病院というある意味特殊な環境であればなんとなく「ありそう」と思わせるセッティングは秀逸。医学用語なんかもバンバン出て来て、ところどころ難解になる部分はあるものの、しっかり分かりやすく説明しなおしてくれるところ多いので、専門知識がなくてもそれほど苦にはならないかな。
途中で白鳥が出て来るあたりからはなんとなく違和感を覚えるところはあるが、まあ他の登場人物の濃さから考えると、こういうハチャメチャなキャラを持って来ないと勝てないだろうし、仕方ないのかな。
この本は、謎解きとか、何故、とかはどうでもよくて、登場人物のキャラを見て楽しむ本と思った方がいいかも。特に、キャラが大きく変わる人物も結構いるので、その変化 (ほとんど白鳥の登場により変わってしまうのだが) が楽しい。
確かに大賞に選ばれるだけのことはあるな、という感じ。
10点満点で8点くらい。
ただし、点数は、この作者が新人だということを考慮して若干オマケしている感がなきにしもあらずだが。(+0.3点くらい)
ちなみにこの作者さん、妙に医療に詳しいと思ったら、本業は医者らしい。