久しぶりに時事ネタを。
ここのところ橋下大阪府知事や前原国交大臣の空港問題に対する発言が注目されている。橋下知事は大阪の空港事情について伊丹を廃止し関空に一本化することを示唆し、一方前原大臣は関東の空港問題について羽田を国際化・24時間化することでアジアのハブ空港化となることを目指すという。
大阪の場合、関西空港を発着する便数が増えないことから収益性が悪化し、府が赤字補填しなければならない状況を憂慮している。もともと伊丹の代替として建設されながら利便性の問題で発着便数が増えない関西空港をより活性化することが、府としての利益につながるというのは納得できる。伊丹はあまりに市街地に位置するし、騒音問題も大きい。伊丹を閉鎖して用地売却益で高速鉄道を敷設し交通の利便性をあげるという発想もなかなか夢もあるし、期待が持てる。
一方の羽田の問題は、アジアの空路の戦いにおいて日本が後手を踏んでしまっているという懸念に基づいている。アジアのビジネスの中心として東京をより多くの外国籍企業に利用してもらうには、空路によるアクセスの良さは必須条件の一つだろう。しかしアジアのハブ空港というとシンガポール、上海、インチョンあたりがあげられることが多く、成田の地位は決して高くない。その主な理由が24時間離発着できないことと、絶望的なまでの都心までのアクセスの悪さ。その2つを解消するには成田ではなく羽田を拡充するしか方法はないというのが前原大臣の発言の根底にあるのだろう。自分も他国に空路を牛耳られてしまうことについて常々懸念を持っていただけに、大臣の方針には基本的に賛成。地元住民には「歴史的経緯を考えてほしい」と言う声もあるようだが、成田へのアクセスがこれ以上よくなりそうもない上に、いつまでたっても反対派が用地を占拠していて拡張が難しいという現状を考えると、これ以上成田にこだわる理由はないように思われる。
もちろんこれらの施策については懸念点も多い。関空の場合、高すぎる空港発着料をどうするのか、神戸空港の扱いはどうなるのか、そしてアクセスをよくするとはいえリニアモーターカー路線を新規で敷設するには相当の時間を要するだろうがこれがいつ実現するのか、という問題。羽田の場合は、千葉県による反対運動もさることながら、滑走路を洋上に拡張しなければならない点、近隣住民の騒音問題、さらには本当に国際的なハブ空港として認知されるまでに至るかという問題もある。もっというと、土地に限界のある日本が空路で無理矢理覇権をとろうとすることが国益につながるのかという点も正直不透明ではある。しかし不必要とすら思われる空港が非常に多く、淘汰されることが必須となる情勢において、空港の特色を生かしていかなければ生き残っていくことは難しいだろう。現状維持を優先するあまり共倒れになってしまうということはなんとしても避けるべきで、その意味では一極に集中させるといった発想も必要。いずれもぜひ実現してほしい政策であると個人的には思っている。
ちなみに、関西空港が国際的なハブ空港を目指すとしていて、前原大臣の主張と相容れない形になっているのがちょっと気になる。誤解を恐れずに言えば、日本が目指すべきハブ空港の形態を考えると、関西空港がその役割を担うのは現時点では現実的でないと考える。日本の政治や商業の中心は依然として東京であり、関空をハブとした場合、単なるトランジット目的での利用にとどまってしまう懸念がある。ただでさえ日本がハブ空港としての価値を提供できるか未知数である状態で、このような不利益のある関西空港を国策で日本の中心空港とすることはリスクが大きい。とはいえ羽田がすべての航空アクセスを束ねるだけのキャパがあるかという意味ではリスクもあるし、機能的な面での役割分担をすることで東京と大阪が共存していく方法もあるだろうから、まず今は関東の中心をどこにするか、関西の中心をどこにするかという点でのコンセンサスを得るのが先決だろう。
しかし、そう考えていくと、神戸空港とか静岡空港とか今後どうなるんだろうかね、、、。このツケを未来に回さないためにも今から何らかの対策はとってほしいところ。
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