
三浦しをんの直木賞受賞作。
東京の郊外、まほろ市の中心であるまほろ駅界隈を舞台とした物語。読んでいると明らかにここが町田だと言うことが分かる。町田というのは、買い物スポットも充実していて繁華街も活気があるが、一方で少し裏へ足を運ぶと何ともすさんだ感じのする様子が見て取れ、陰と陽と両方を兼ね備えた都市であるといえる。そんなまほろで便利屋を営む多田のところに、ひょんなことから高校の同級生・行天が転がり込んできて、便利屋に持ち込まれる数々の難題に向き合って行く、というストーリー。
物語のほとんどは、ハードボイルド的な感じで進行していく。多田はどちらかというとアウトローだし、行天に至っては粗暴な面も有りつつ何を考えているかよく分からない。いろいろと危ない目に遭う2人ではあるが、難題を解決していく過程で2人の関係や過去が徐々に明らかになっていって、最後にはこの本は実は人情ものだったんだという感想すら持つに至る。
三浦しをんは「私が語りはじめた彼は」のイメージしかなかったので、こんな話も書くんだというのは新鮮だったし、なかなか面白かった。しかし、三浦しをんって自分と同級生なんだよな、、、。それで直木賞作家なんだから、すごいよなぁ。。。