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角田光代: さがしもの



角田光代の短編集。

主人公とその身近にある本が織りなすドラマというのがこの本のテーマとなっている。運命の本との出会い、呪いの本(?)の存在によって不幸になっていく女性、絶版になった本を探す話など、かなりバリエーションに富んでいるが、いずれも話の中心には「本」がある。女性が主人公となる話がほとんどなんだけど、例によって角田さんの描く女性というのは非常に写実的で、それでいて繊細な感じがしてとても良い。角田さん自身読書がとても好きだというのが伝わってくるのも、とても好感が持てる。

作品中で「読書のいいところというのは、ページをめくるだけでどんな世界へも瞬時に飛んでいけるところにある」というような話が出てくるんだけど、まさに同感。これは視覚に頼った芸術作品では味わえない感覚で、この独特の心地よさがあるからこそ読書を続けているというのは自分も一緒。テレビドラマや映画などもいいけど、やっぱりこういう感覚も大事にしなきゃいけないんじゃないかなぁ、と思う。

とても面白かったのだが、残念なことに、この本、ブックカバーごと紛失してしまった、、、。特にブックカバーは1年半ほど愛用してかなりお気に入りだっただけに、すごいショック。。。また新しいの買わないとなぁ、、、。

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