
そのまんま東こと東国原英夫・宮崎県知事が知事としての1年を振り返り、自信の業績について述べた本。
東国原知事というと、何と言っても「宮崎県のセールスマン」として TV に登場する姿が印象的だけど、これ以外に県庁改革にもかなり力を入れているようで、だいぶ県職員の意識も変わってきているようだ。
東国原氏のいいと思うところは、知事自身が明確かつ確固たるビジョンを持っていて、しかも人を動かせるという点にあるんだろうと思う。会社という組織でも同じことが言えるが、トップたるもの、実務をこなす力よりも組織を動かす力の方が遥かに重要。これまでは「改革」というと強権的にトップダウンで指示だけ出して自分は高みの見物をしているようなやり方をするケースが目立っていたが、これでは肝心の職員が心から変革しようという気にならない。県庁にいるような職員はもともと頭も切れるしポテンシャルもあるんだから、それをうまく使うのがトップの役目だろう。
自信の業績なので若干手前味噌な感もないことはないが、それでも東京にいても宮崎の変革が伝わってくるんだから、地元の人はそれ以上に変化を感じていることだろう。その意味で、東国原氏はただのタレント知事・落下傘知事ではないというのは疑う余地のないところ。
ただ、財政面についてはちょっと支持できないところもある。宮崎にはお金がないとか交通インフラが弱いというのはよく理解できるが、それをリカバリーするために何が何でもお金を取ろうというの方向の主張は、他県の住民からすると賛成できない。国レベルで見ても歳出を削減していくことは至上命題なだけに、宮崎のためだけに手段を選ばないという感じに取れなくもない氏の主張には矛盾があるような気もする。
ま、でもこうして地方として主張するところはきちんと主張しておくという姿勢もありだとは思うし、各自治体間での調整のベースラインとしては有効なのかな。
政治家たるもの、東国原氏ぐらいの熱い気持ちを持って仕事に取り組んで欲しい。