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山田詠美: 風味絶佳



山田詠美の短編小説集。

タイトルにもなっている「風味絶佳」は、柳楽優弥&沢尻エリカの映画「シュガー&スパイス」の原作にもなっているし、前からちょっと気にはなっていたのだが、やっと文庫版が出たので手にしてみた。

筆者曰く「職人さんを書いてみたかった」ということで、主人公はどれも特殊な職業についている。ゴミ収集員、ガソリンスタンド店員、下水清掃員、火葬場職員、等々。彼らが織りなす様々な形の恋愛がこの作品のテーマ。

ただ、それぞれの恋愛事情は様々。その中で自分がいちばんいいと思ったのは、暗い過去を持つ妻との甘い恋愛を書いた「アトリエ」かな。最後はかなりショッキングだったけど、いろいろ考えさせられる。中年の男女が初恋をやり直す「海の庭」もほのぼのしていてよかった。「風味絶佳」もまあまあよかったが、押したり引いたり出来ない志郎のもどかしい姿とか、あっさり元さやに戻っちゃう乃里子の姿とか、ちょっと若すぎるよなぁというあたりであんまり共感が出来なかった。最後の「春眠」は、自分には全然分からない世界だな。。。章造の憤りは自分にもよく分かるし、正直このオヤジを見ていると気持ち悪い以外の何者でもない感じ。これが分からないというのは、自分もまだまだ修行が足りないんだろうか、、、。

山田詠美の作品を読むのはこれが初めてだったが、文章はとても読みやすいし、表現もとても自然。あんまりベタベタした恋愛小説が好きではないのでこれまで避けてきたけど、さすがに売れているだけのことはあるなぁ、と思った。

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