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東野圭吾「分身」



自分の出生に隠された秘密を持つ2人の女性が、真相を知ろうとそれぞれ別々に動き出す。やがて2人の容姿が全く同一であることが分かり、驚くべき真実がむき出しになっていく。

人工授精や代理母のようなやり方に対するアンチテーゼというのがこの作品の主題な訳だけど、この本を読んでそうしたやり方を倫理的に受け入れられない自分がいたし、その意味でとても考えさせられる作品だった。

子供が欲しくても授からない人々の苦しみが分からないわけではないが、この本の主人公の2人を見ていると生まれてきた子供が必ずしも幸せになるとは限らないし、特に遺伝子操作などは人間の踏み入れてはいけない領域だと思っている。

特に心が動かされたのは、晶子と双葉が出会ったシーン。こういう状況に置かれたらどうなるのだろうとハラハラしながら読んでいたのだけど、こういう展開も十分あり得ると思うし、晶子の心境を思うと本当に心が痛む。

予断を許さない展開も相変わらずだし、またしても東野圭吾の才能に触れてしまったと言わざるを得ない本だった。

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