
猪瀬直樹が東工大の特任教授 (ってどんな肩書きだよ…) として着任した2006年に、戦争についての講義をした際の話をまとめた本。
この本は、日米開戦の理由について、燃料資源の獲得という観点から説明がなされている。無謀な戦争に走った理由にはおそらくいろいろな要素があって、一つ一つの要素は小さくてもそれが集まることで暴走してしまったという側面はあるとは思うが、それにしても燃料不足が戦争を始める大きなきっかけになったという点は大いに納得できる。
中でもびっくりしたのは「総力戦研究所」の存在。政府によって若い実力者たちが集められ、「開戦やむなし」の空気の中で、「開戦しても結局破綻する」という結論を導き出し、当時の内閣に報告までしていたなんて知らなかった。
それと、東条英機という人についても、実は今まで全然知らなかったなぁ、というのが正直なところ。軍人にあって最後まで戦争回避に心を砕いていたというのは知らなかった。
こうして読んでみると、我々は本当にあの戦争について無知なんだなぁ、と改めて思い知らされた。もうちょっとちゃんと勉強しないと、あの戦争について語ることも出来ないだろうし、ましてや靖国神社論もまともに出来ないだろうと思った。
# ゴー宣でも読んでみるかなぁ、、、。
全体としてはとてもためになったが、ちょっと視点が偏っているところと、軍の上下関係 (少佐とか中尉とか) について思い入れが強すぎるところは減点材料。
とはいえ、終戦記念日を迎えて、戦争について考えてみる材料としてはとてもよかった。