
7/30 と 31 の2日間、毎年恒例の itSMF Japan コンファレンス 2009 に出席してきた。昨年まではスポンサーとして展示会場のブースに張り付いていたが、残念ながら今年は出典を取りやめとなり、逆にこれは良い機会と思って積極的に講演を聴いてきた。
いろいろな会社での ITIL の導入事例を聞けるというのはこのイベントに参加する一番大きなメリットだと思う。今回も多くの事例を聞けて大変参考になった。また、事例そのもの以上に、どのような人たちがどのような考え方で導入を推進したのかという雰囲気を肌で感じることが出来たのもとてもよかった。
全体を通して感じたのは、ITIL はあくまでモデルであり、教科書通りにあてはめても必ずしもうまくはいかないという主張をされている方が非常に多かったこと。自身の会社のプロセスを無理矢理 ITIL に適合させるのではなく、既存のプロセスを活かしながら ITIL の概念をあてはめていくというやり方によって成功したという話が多かったように思う。特に、富士通総研の方の BCM についての話がきわめて印象的だった。ITIL では BCM があった上で ITSCM を進めるべきと説いているが、BCM を策定を待っていても何も始まらないので、IT 側で出来ることを検討する努力も必要であるとする氏の主張はきわめて現実的だと思う。もちろん BCM から ITSCM へという流れの方がスムーズだし、ベスト・プラクティスとしては正しいと思うが、それを鵜呑みにしているだけでは本当に正しい判断には行き着かないというのを非常に強く感じた。
その一方で、自社の既存のプロセスの存続を強く意識しすぎるあまり、重大な要素が欠落したまま「ITIL を導入しました」と言い張っているように思えるケースもあったように思う。こうしたケースでは、ITIL が言っていることを自分の都合の良いように読み替え過ぎているきらいがあり (自分たちではそれに気づいていないようにも思うが)、理論と実践のバランスが重要であるということに改めて気づかされた。
個人的にはガートナーの講演に一番期待していたのだが、期待が大きかった分あまり満足できずちょっと残念。山野井さんとしては「ベンダーも顧客ももっとお互いを信じあわないとダメだ」というメッセージを双方に伝えたかったのだと思うが、ではどうすれば良いかという点がちょっと理想論的な感じがして弱かったかな。
全体としては、基調講演も自分の興味ある分野の話が多かったし、本来の目的である ITSM に関する情報収集でも一定の成果はあったと思うので、参加してよかった。また来年も機会があれば参加したいなぁ。
ところで、今回のitSMFコンファレンスの会場は目黒雅叙園。正直、IT のイベントをするには場違いな感じは否めなかった。。。あと、雅叙園に行くには目黒駅からとても急な坂を下りなければならず、逆に帰るときは非常に急な上り坂となる。初日の帰りに坂を一生懸命登ったら、翌日大臀筋が筋肉痛になってしまい、ちょっとショックだった。。。