
久々の書評。
実はずっと読んでいる本があるのだが、これが考えながら読まないと全く意味のない種類の本で、通勤の電車の中だけではちっとも進まないので若干やる気をなくしていた。ということで、ちょっとしたリハビリもかねて軽いエッセイでも読みたいなぁと思っていたところ、最近ちょっといいなと思っていた絲山秋子のエッセイがあったので、手に取ってみた。
絲山秋子の作品というと、やはり初めて読んだ「袋小路の男」のイメージが強烈で、恋愛小説なんだけどなんかとてもやるせない感じの作品を書く人というイメージがあったが、このエッセイではそうした雰囲気の作品を書くに至った作者のキャラクターが全開。ちょっとひねくれすぎている感じは否めないが、シニカルなネタでもかなりテンション高く明るく書いているので、シリアスなのにどこかのほほんとしている。こうしたひねた感じをある意味自分でも受け入れて、それを開き直ってぶちまけまくっているからこうした明るさが出るんだろう。
とはいえ、他人の価値観を受け入れないような器の狭いところもあって、若干ムカムカするのもまた事実。まあ、みんながみんな善意で動いているわけではなく、きれい事や性善説だけでは世界は動いていないんだと言うことを意識する上では有意義だったけど、、、。