
TVタックルなどでおなじみの政治評論家・三宅久之氏が、一国のリーダーたる首相に求められるものについて自身の考え方を示した本。
折しも今日公示となった衆議院選挙は「政権選択選挙」とも言われている。いまのままの自民党政権でいいのか、それとも民主党が政権を取るのか。有権者ひとりひとりが政権に何を求め、そのためにどの政党に投票するかを真剣に考える必要があるのが今回の選挙だと思っている。そんな中、新聞記者から政治評論家に転身し、数々の政権とそれを取り巻く政治家をつぶさに観察していた三宅氏が、政権を担っていくにはどのような力が必要と考えているのか、という点に興味があった。
戦後の総理大臣についての解説とか政権の裏話のような話が多く書かれていて、それ自体は非常に興味深い。こうした混沌の時代にあって過去をひもとくのは非常に有益なことだとは思うが、ただ一方で、三宅氏が新しい政権に求めるものについてはほとんど書かれておらず、しかもかなり漠然とした一般論に終始しているのはかなり残念。構成的にも、各章が分離していてつながりが見えづらかった。うがった見方をすると、とりあえず選挙にあわせて「政権力」というキーワードを先に立て、そのために無理矢理内容を膨らましたような気すらしてしまう。
いいテーマだし、政権力を語るに相応しい経験やエピソードもたくさん持っているのに、なんかとてももったいない。三宅さんも焼きが回ったか、、、。