
池上さんによる現代史シリーズ第3弾。これまでの2作では第2次大戦後に世界で起こった重大ニュースをとりあげていたが、今回は日本の現代史に特化した解説となっている。
戦後60年。この間に日本人の生活様式は大きく変わったように思えるが、根本に流れるものは実はあまり変わっていないんじゃないか、と言うのがこの本を読んでの率直な感想。誤解を恐れずにいえば、日本人の無責任なところや目先のことにとらわれすぎるところというのは昔から何一つ変わっていないんだ、ということを目の当たりにさせられたような気がする。安保闘争しかり、全共闘しかり、政治しかり、公害しかり、そしてバブルもまたしかり。もちろんこの中には日本人だからと言うわけではなく人間としての悲しい性という部分も多く含まれるだろう。が、とかく日本人に見られがちな事なかれ主義が事態を悪化させたようにも思えるし、それが長い日本の低迷の根幹であるような気がしてならない。
ま、何はともあれ、日本を再生する第一歩を踏み出すにはまず過去をよく知りその反省を活かすことが重要だろう。その意味では、この本は日本国民みんなに読んでもらいたいぐらいだ。
解説は相変わらず非常に平易な文となっているし、戦後60年分の重大な出来事がコンパクトにまとまっているのでこれを読むだけで何となく戦後の流れが一度に分かってしまう。このシリーズは今後もぜひ継続して欲しい。