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玄侑宗久: 現代語訳 般若心経



自分は無宗教な人間な訳だけど、やはり仏教というのは日本人としての考え方の土台になっているところも多いと思うし、生きていく上での心構えとして勉強しておきたいという思いの一環で読んでみた本。

般若心経には大本と小本があるらしいが、大本に書かれていることのエッセンスのみを262文字に凝縮したのが小本ということらしい。一般的にお経として読まれているのは小本の方だが、その背景とか意味とかをより深く知るにはやはり大本を読むことが必要となってくる。この本ではまず大本についての現代語訳 (と筆者は言っているが実質は解説だと自分は思っている) をした上で、最後に小本を載せるという構成になっている。

般若心経で一貫して述べられているのは、すべての物事はお互いに関係しながら絶えず変わり続けているということであり、善悪や生滅についても普遍的なものではなく、見方によって変わる概念であるということ。これなんかはたとえばアメリカが「テロとの戦い」といったイラクやアフガンの戦争なんかを見ても心理だと言うことがよく分かる。また、物事が増えたり減ったりして見えるというのは実は極めて近視眼的なとらえ方であり、そのようなことに惑わされてはいつまでたっても「苦」から逃れることは出来ないというのも昨今の金融危機の様子を見てもなるほどなぁ、と思った。

単なる精神論や講釈だけでなく、近代の物理学なんかも絡めた話はとても面白く、観自在菩薩の言葉を理解するのに大変役立つのだが、ただ最後の「般若心経とは呪文である」という結論に至るところがいまいち飛躍していて理解できなかったのは残念。

ただ、やはり物事の芯を捉えた教えであるようには思うし、これだけ長い間いろいろな人に受け入れられている理由も分かったような気がする。自分にとっては、論語なんかより受け入れやすかったかも。

# しかし難しかった。この本はまだ平易に書いている方だと思うが、それでも読破にゆうに1週間以上はかかってしまった。。。

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