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ゲーム理論

いま「ゲーム理論トレーニング」という本を読んでいるんだけど,その中でびっくりするような記述が...問題としては,丁半ばくちで,勝つと持ち金が1割増え,負けると1割減るという設定の場合,平均として儲けはどうなるか? ということ.

勝ったら1割儲かって負ければ1割損をします.それらを掛け合わせると 0.9×1.1=0.99 となります.(中略) ともかく長い間,勝ち負けを続けていると,1% 程度の損失がどんどん累積して,やがて持ち金はだんだん減っていくでしょう.

本当? と思って計算してみたが,やっぱりそんなことはなくて,n 回目終了時点での所持金を X_n とした場合,E(X_n)=1 であり,平均では五分五分ということになる.

E(X_n)
= \sum_{k=0}^n {}_n C_k (1/2)^n 1.1^k 0.9^(n-k)
= \sum_{k=0}^n {}_n C_k (1.1/2)^n (0.9/2)^(n-k)
= ((1.1+0.9)/2)^n = 1^n = 1

もちろん,これは平均の話であって,実際メジアンとか分散とか考えていくと確かに 1 より小さいところにバイアスがかかってはいるけど,金の動きでいうと損も得もしないところにあるはずである.しかも理論的にはこのゲームは決して破産しないわけだし.京大の助教授の方が書いたそうだが,せめてここまでは書いて欲しかったなー.

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