

普段あまり洋物は読まないんだけど、薦められたので借りて読んでみた。
舞台はアメリカ西海岸。主人公は FBI でも屈指の女性捜査官・スモーキー。凶悪な殺人犯に夫と娘を殺され、精神的に参っていたスモーキーの元に飛び込んできたのは、かつての親友が虐殺されたという知らせ。葛藤しつつも現場に復帰したスモーキーには犯人からの挑戦状が残されており、やがてこの凶悪な猟奇的殺人犯を追いつめていくというストーリー。
作者が「羊たちの沈黙」に insire されて筆を執ったというように、事件の凄惨さとか犯人の「正気な狂気」はハンニバル・レクターにも通じるところがある。ただ、この作品は犯人の異常さではなくて、FBI の捜査の手法であったり、チームワークであったり、家族の大切さであったりと、凶悪でない部分にフォーカスが当たっており、「羊たちの沈黙」シリーズや「SAW」のような後味の悪さはあまりない。最後もまあこれしかないというような結末だったし、その意味ではすっきりしたかも。
スモーキーの超人的すぎる能力とか、犯人の見せる詰めの大甘なところとかはちょっと微妙ではあるが、ラスト150ページのハラハラ感はかなり読み応えがある。
上下巻に分かれていてちょっと長めの作品ではあるが、比較的楽に読めたかな。