
江國香織の書く小説は、どうも女性による女性のための恋愛小説という印象が強くて、正直あまり好きになれないんだけど、他の作品と違ってこの作品は男性が主人公、しかもオタクで容姿も悪いという、女性から見た場合に生理的な嫌悪感を抱かれそうなキャラを他ならぬ江國さんが書いたというので、ちょっと興味を持っていた。この度、めでたく文庫化されたということで、さっそく読んでみた。
なんというか、明信と徹信のキャラづけがとてもよい。正直、江國作品のキャラとは真逆な感じ (といってもほとんど読んだことないのでかなり独断だけど) であるにも関わらず、描写がとても細かくてよい。男性の目から見るとこんな兄弟に癒される女性がいるのか、と突っ込みたくなるけど、それを女性が書いているだけに妙に納得できてしまう。
なかなかおもしろかった。
ただ、読んでるとドランクの塚地と佐々木蔵之介の顔が頭から離れなくなるので要注意。