


女優の中谷美紀が、「嫌われ松子の一生」のクランクアップ直後から4回にわたって単身訪れたインドでの旅行の様子をまとめた本。
インドというのは日本と比較すると文化的にも距離的にもかなり遠いようなイメージを持っているのは自分だけではなく、日本人の共通的なイメージだろうと思う。ただ、最近仕事でインド人と絡むことも多く、今後インドへ出張で行くことも十分考えられるため、文化的な土台を知っておくことは重要かな、と思ってたところでこの本を発見し、読んでみることにした。
インドというのは国も広いし何より人口もとても多い。そして多種多様な民族・宗教が混在していることもあって、旅行記を読んだ感じでもかなり混沌としているイメージを持った。カースト制度の名残で貧富の差も激しく、物乞いをしながら生きている幼い子供や、観光客からぼったくって生活をしているような人がたくさんいたりと、生活は厳しい感じを受けるものの、実は人々は皆純粋で、決して苦しい感じがしないという点はとても好感が持てる。
はじめはヨガが目的でインドに渡った中谷が、徐々に混沌としたインドの魅力に気づき、半年もしないうちにインドを一周することになったという点も興味をそそられる。
活字を通してインドの様々な姿をかいま見ることが出来て、インドがちょっと近く思えたし、いつか行ってみたいなぁとちょっとだけ思うようになった。何より、インド人との電話会議に辟易していた時にこの本を読んでいたおかげで、先方に対してもちょっとだけ親近感を持つことが出来たあたりは、仕事に対するいい影響も与えてくれたのかな、と思う。
ちなみに、中谷美紀の文章、かなりいいセンスをしていると思う。もちろん多少プロの手による書き直しが入っているのだろうけど、それを差し引いたとしてもとても面白い。自分が旅行に行っても、ここまで書けないだろうなぁ、、、。
余談だが、中谷美紀が作品の中で、「旅の疲れは移動時間の長さではなく移動距離の長さに依存する」と言っていたのは激しく同意できる。自分もまさにそう感じていたしね。