
交通事故によって記憶が1975年で止まってしまい、それ以降の出来事は80分しか覚えていられなくなってしまった「博士」と、そこに勤めるようになった家政婦、さらに家政婦の一人息子が繰り広げる、非常に切ないお話。
めちゃめちゃ面白かった。
ストーリーも感動的ながら、登場人物の描写も非常に巧みだし、ところどころに埋めこまれているユーモア、さらに数学的なお話についても絶妙。
実はこの本、話題になる前から本屋の数学書のコーナーにひっそりと並んでいたのを知っていたのだが、そもそも数学をモチーフにした小説なんて成り立つのかという思いがあって敬遠していたところがあった。やまさかこんなに売れるとも思わなかったし、読み終わった今思うのは、もっと早くこの本を読んでおけばよかったなぁ、という感じ。
理系の皆さん、特に少しでも数学をかじった皆さんは読んで損はないと思う。
10点満点で10点をつけてもいいと思う。