郊外の団地に住む家族の物語。
登場する6人の別々の視点から、1章につき1人の視点という感じで話が進んで行く。同じ時間内の事柄を異なる視点から書いた作品というのは何点かあるけど、この作品では視点が変わっても時間の流れが逆転することなくスムーズに切り替わっていっているのが凄い。最初はマナの視点でしか話が見えないが、視点が変わるにつれて色々な背景が見えて来る様になるので、どんどん引きこまれて行く。
この家庭は、最初はごく普通の家庭に見えるけど、最後まで読むと実は既に崩壊していて表面だけ取り繕っているように書かれている。でも自分の考えを言えば、この家庭は決して崩壊もしていないと思うし、結局のところ普通の家族の延長線上にいるだけのような気がする。最後でお母さんが病院で見せる反応 (エレベータ内でのおじさんのセリフ) のあたりからも、実は何だかんだといって結局支え合って生きるのが家族なんだなぁ、というのが表われてるしね。その意味で、暗い話だった割には最後はすっきり感があった。
とにかくこの作品の登場人物はどれもが個性的なんだけど、個人的にはお母さんの描写がすごく好き。子供の頃友達の家に遊びに言ったときなんかにこういう妙なテンションで張り切っちゃうお母さんっていたよなぁ、というのを思い出したりした。
ちなみに余談だけど、この作品って映画化されるんだね。後付読むまで知らなかった。何かキャストもいい感じなので、暇があったら見に行こうかな。
実は角田光代の本を読むのはこれが初めてだったんだけど、期待を裏切らない面白さだった。直木賞受賞作の「対岸の彼女」もぜひ読んでみたい。
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