拝啓 時下ますますご清栄のこととお喜び申し上げます。
さて、3月4日付けで頂きました、標記のお手紙について、ご質問に合わせて、ご回答申し上げます。
資料2.は、「日本における石綿製品の使用状況について」は、当協会がまとめたものです。
労働者の安全と健康を確保するために、労働安全衛生法が制定されております。その規則で、石綿および石綿製品を製造し取り扱う事業場は、管理濃度 2f/cm3となっており、この管理濃度を守っておれば健康への心配をする必要のないというレベルであります。当協会は、さらに安全を確実なものとするために自主基準値として管理濃度を1f/cm3ときめて実施しております。
資料3. 1)「会員の98.6%が自主基準値を達成」は、工場などの作業現場の石綿粉じん発生状況をまとめたもので、これは、1f/cm3を自主基準値として管理しているデータです。2)「敷地境界における石綿粉じん濃度測定結果まとまる」は、工場などの作業現場で発生した石綿粉じんが、環境におよぼす影響を測るため工場の敷地境界における石綿粉じん濃度をまとめたもので、大気汚染防止法の基準に基づいております。3,4)「建築物の解体・改修時の石綿粉じん飛散の実態」は、公的な機関が発表されたものをまとめたものです。
なお、諸外国では、個人ばく露濃度で、規制しておりますが、わが国の管理濃度との関係についていえば、わが国の管理濃度1f/cm3は、外国の個人ばく露濃度では、0.3〜0.4f/cm3に相当する厳しさです。詳細は、資料4をご覧ください。
厚生省の人口動態統計に石綿の名称で死因となっているものをみますと、石綿肺がありましたので、資料5.として添付します。昭和50年ころから作業環境が改善されてきておりますので、今後は、少しずつ減少するものと考えております。
肺がんおよび中皮腫につきましては、タバコ、化学物質、大気汚染などによると言われておりその中で、石綿が原因で死亡したという統計はありません。
当協会の基本的な考えとして平成3年に「ポジション・ステートメント」資料6.を発表致しました。当協会は、現在もこの考えで、活動を行っています。
代替化については、比較的に脆いもので、石綿粉じんが飛散しやすいものから代替化を進め、これらについては、ほぼ目的を達しております。これまで代替化した主なものは、当協会のパンフレット「石綿含有建材の取扱い」を御覧下さい。
ご承知のことと存じますが、石綿は、そこにあるだけで害をなすものではなくある形状のものが、空気中に飛散し、肺の中に吸い込まれて、ある程度の量が蓄積してきて人間に害をなすものです。これまでの医学的な知見を、桜井先生がまとめられましたので、資料7.を添付致します。
また、石綿は、一つのものでなく、いろいろの種類があります。そのなかで、角閃石系のクロシドライトとアモサイトは、害が大きいのでWHO(世界保健機関)でも使用を止めるようにと勧告しております。当協会も昭和62年から、クロシドライトを、平成5年6月から、アモサイトの使用を中止し、比較的に害の少ない蛇紋石系のクリソタイルで粉じんの発生しにくい製品に環境・健康面に影響をあたえないように管理して使用しております。なお、法律では、2年後の平成7年に、アモサイトおよびクロシドライトが、製造禁止となりました。
今後とも当協会をよろしくお願い致します。