教師になりたての前途ある若者が、たった2ヶ月で自ら命を絶ったというニュースを見て、一時期ではあるが教師を目指していたものとしては本当に悲しい気持ちになった。
現代日本が抱える問題は多々あれども、国を作るのが国民である以上、若い世代を育てることは国家の最優先課題とすべきであるというのが自分の持論なのだけど、端から見る限り、とてもいい方向に向かっているようには思えない。
自分んは子供もいないし教育の現場と向き合っているわけではないので、これから書く内容は正確ではないかも知れないし、子育てをしていない人間の無責任な持論の展開と思われる部分もあるだろうとは思うけど、以下はこの前提のもとに読んでもらいたいと思う。
で、いきなりまとめから入るけど、結局、問題は学校と家庭の双方において、きちんとした教育を子供に与える能力が低下していることにあるんだろうと思う。
教師が生徒を押さえられない、学級崩壊して授業が成り立たない、というのは割とよく聞く話だ。これは今に始まった問題ではないが、確かにこの現状を見ると自分が親だったとして果たして子供を公立学校に入れたいかといわれると答えに窮してしまう。ただ、今の学校には子供をまともに教育できる教員が少ないという言われ方をすることがあるが、それが必ずしも問題の本質を説明しているとはとても思えない。
一番気になるのは学校の指導方針に対する保護者の過剰反応。自分が子供の頃に受けた体罰を自分の子供には課して欲しくないという気持ちは分からないでもないが、ちょっと子供を叱るだけで「体罰だ」と大騒ぎされてしまったら、子供を叱ることが出来なくなってしまう。そもそも親が子供のしつけの責任を放棄しているにもかかわらず、悪いことをした子供を叱ったことだけをやり玉に挙げて過剰反応した上、「学校は何を教えているんだ」というのは、論理としては明らかに「逆ギレ」だろう。そしてもっと問題なのは、逆ギレをしている親を見て育った子供の善悪の基準がおかしくなってしまうのではないかという懸念。ちょっと前に話題になった「保育費未払い問題」もしかりだが、子供というのは親の一挙手一投足を見て育つものだと思うし、親がしっかりしていないのに子供がしっかりするとはとても思えない。先日「道徳の授業を廃止する」というニュースが話題になったけれど、子供にではなく、むしろ大人にこそ道徳を教え込む必要があるのではないかと思ってしまう。そんな状況なのに教師にだけ聖人であるよう望むのはお門違いだろう。
子供への体罰がいいことだとは決して思わないけど、悪いことをしたらなにがしかの罰を受けると言うことは必要悪だと思っているし、温室育ちで善悪も分からない大人を量産するくらいなら、極端なことを言うといっそ何某かのガイドラインを持って認めるような政策を考えてもいいんじゃないか、とさえ思ってしまう。
もちろん、実際に教員の質が下がってしまっている可能性があるという問題もある。これにも細かく言うと二つポイントがあって、一つは保護者の教育放棄に比例して学校への期待が過度に高くなってしまっていることで、相対的に質が下がっているように見えてしまっていると言うこと。そして一つは優秀な教員志望者が現在の教員の置かれている立場に絶望感を感じて教員になってくれないという問題。せっかくやる気も実力があっても、たった1回対応を間違えただけで散々叩かれるような職場を果たして前途有望な若者が選ぶかどうか。事実、自分も教育実習に行った際、担当してくれた先生から「今は教員にならない方がいい」というようなことも言われたほど。それでも情熱があれば教員になろうという思いにもなるんだろうけど、現在の売り手市場な就職戦線において敢えて茨の道を進む学生がどれだけいるのだろうか。ぜひ、国には優秀な学生が教職につきたいと思えるような政策を考えてもらいたいと思う。
繰り返しになるが、自分は所詮現場で起こっていることを把握できる立場にいるわけでもないし、子供を持たない人間が無責任に持論を展開しているだけだとことは理解している。それに、しつけの問題にしても大多数の親御さんはしっかりと出来ていることと思う。しかし逆にこれから子供を持つ (かもしれない) 人間の一人としては、今の教育機関の現状が少しでも改善してくれるよう、学校にも保護者の皆さんにも頑張ってもらいたいと思っているし、日本の行く末が安泰になるよう、国を挙げて取り組むべき問題であるということを認識してもらいたいと思う。
- コメント
- はい、教育機関はすごく大変です。
昨日のニュースにもありましたが、中学1年生では1割がうつになっているようで、中学ぐらいの先生が一番大変かも知れません。
あと、モノを壊したことがない子供が増えているのが、結構危険です。
昔だと、ミニ四駆の改造とかで、無茶をすると壊れるっていうことを学習できたのですが、最近のNintendo DSなどのおもちゃは壊れないようにできてます。
力加減とか知らないので、PCのケーブルを力任せに引っこ抜いて壊してみたりします。
まぁ、標的がPCなら買い直せば何とかなりますが、仮に標的が人間になったとすると、ぞっとします。
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- yamachita
- 2007/10/10 10:51 AM
- 結局、親が子供の教育が出来ていなことが根本だと思います。 周りを見てもそう思います。 親は元々怖い存在であったはずが、いつのまにか兄弟のような間柄です。 また、教師も大学を卒業し、学校という社会しか見れないで定年退職を迎える人が大多数であり、社会と言うものを教えられない方々が多く見受けられます。 横浜ではこの問題を解決しようと中途採用を最近始めてます、実際息子の先生は一般企業から去年先生になったばかりの新米先生ですが、教師一筋で来た方々とは考えが違うところが多々有り、教師間でも論議をかもし出しそうです。
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- 通りすがり
- 2007/10/10 9:14 PM
- 学校教育と1括りにしてしまうと問題がぼやけると思いますので、義務教育の範囲で考えてみると、やはり小学校で一定の道徳をみっちり教えるカリキュラムにするべきではないでしょうか。具体的には社会科見学や中途採用の教師による独自教育など現代社会の構造と道徳感を中学校に進む前に叩き込む。その上で中学校は義務教育の最後の機関でもあることから、小学校で身に着けるべき道徳観を持たない生徒は選別かつ再教育すべきと思います。こういったことも小学校のうちに親にみっちり宣言しておく。格差社会がいけないという風潮をよく聞きますが、努力しないものは報われない。これが現実ですと小さい頃から親にも子供にも教えておく。つまり学校の位置づけをしっかりする。これで小学校とは、中学校とは〜すべきところであると親も子供も理解してくれるのではないでしょうか。
自分としては極論すると、子供にははやく社会を知りなさいと言いたいです。可能なら中学校を出てから強制的に一旦1年ぐらい社会を見させるような制度でも良いかもしれません。何の資源も持たない日本が国際社会で生き残っていくためには、決して平均的なワーカーを育てるような教育論ではいけないと思ってます。 -
- tan
- 2007/10/10 10:56 PM
- 子供を育てている親として思うことは
「子供は、家族の前で『イイコ』でいる必要はない。子供らしくあればいい。やんちゃでもマイペースでも内気でも・・・でも、その中で、『やっていいこと』と『いけないこと』だけは、ちゃんと教えていきたい」
ということです。今の日本で良いと言われる学歴を持っていても、常識がないと思う人たちをたくさん知っていますから・・・。
その常識というのは、「親」が教えるべきことであり、一方で、勉強とか社会生活(他の人とのコミュニケーション、共同作業)ができる場所が「学校」なんだと思っています。そういう意味で、子供には、その子にあった教育をしてくれる学校を選んであげたいと思うし、色々な校風の学校があることは良いことだと思います。
そういえば、保育園に入りたての頃、クラス会での先輩ママさんの言葉で感動しました。
「私は、自分の子供以外の子が悪いことをしているのを見たら、叱ります。だって、子供たちみんなに良い子に育ってほしいですから」
でも、その一方で、子供が悪いことをしていても叱らなかったり、平気で「何でできないんだ、ばか!」と言ったりする親もたくさんいます・・・悲しいけれど。
taishiさんみたいな考えをしている方は、多いと思います。私もそうです。でも、今の教育を考えると、親が今まで以上にしっかりしてあげないと、子供がちゃんと成長できないと感じています。大人になったときに、自力で生活していけるだけの気力とか根性とかを身につけてほしいと、心から願うばかりですし、その努力をしていこうと思っています。 -
- よーこ
- 2007/10/11 8:54 AM
- みなさん、コメントありがとうございます。
やっぱり親が親としての責任を果たしていかないと、教育の問題というのは片付かないですよね。ともすると教育というと「いい大学に入れて…」って」方向に行ってしまいがちだけど、それよりも人間として以下に善く生きるかということの方が重要なのに、この部分が軽んじられている気がしてなりません。ま、学歴社会については言いたいことがたくさんあるので、また折を見て書いてみたいと思います。
制度を見直すという意味では、tan さんの言うようなインターンみたいな制度もなかなかおもしろいかもね。
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- taishi
- 2007/10/11 12:37 PM
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