6月18日付又市征治幹事長公式ブログの、匿名コメントへの幹事長の返信コメントが、僭越ながら何か心に響くものがありましたので、ここに転載します。公式文書ではない、幹事長の生の言葉が綴られています・・・。
http://blog.goo.ne.jp/mataichi_seiji/e/7e45d04cdf5481e9064b44fe062ed313
「食べること」は「生きること」
見知らぬ人 様
見知らぬ私へのコメント、まずは感謝申し上げます。
私の生家も農家でした。戦争中、私の父が足を失い、7歳のとき母が亡くなりました。以来、私が主な担い手となりました。
もちろん当時は今のような機械はなく、田起こし、代かき、田植えや草取りも手作業、刈り取るのも手作業、収穫後も乾燥機などありませんので、「稲架(はさ)」に掛けて乾します。雲が多いときは授業中も雲を見つめ、雨が降り出した途端、教室を飛び出して、稲をしまわなければなりません。
それでも、農業だけでは食って行けず、朝は夜明け前に起きて草を刈り、その草を山羊(私も含め、当時はこの乳で育ちました)や鶏などの家畜に与え、その後、新聞配達をし、帰宅して方田んぼの水を調整し、畑の野菜に水をやって、それから学校です。夕方は夕刊を配り、月末には集金もしました。農業とアルバイトで、ようやく高校にも通うことができました。
その頃、父が亡くなり、結果として大学進学はあきらめざるをえませんでしたが、そんな「貧農」で、私は生きて来たのです。
こうした経験から、農家の現状については、いつも注意深く見ており、現状についても理解しているつもりです。
TPPに賛成・反対を言う前に、ということですが、私は「反対」です。「食べること」は「生きること」です。農業を知らない政治家、「食べる」ことに困ったことのない政治家、「食べる」ことを自分で賄ったことのない政治家が増えていますが、TPPは確実に「食べる」ことを破壊します。
TPP参加によって、間違いなく、日本の農業は壊滅します。今でさえ、中山間地を中心に農業は赤字なのに、その何分の一という価格のお米が大量に流入すれば、農水省が試算した食料自給率13~14%という数字さえ、確保できるか分かりません。
仮に13%として、自国で生産した安全・安心な農産物を口に出来るのは、わずか8人に1人という割合です。残りは、「餃子」事件で有名になったメタミドホスなど禁止農薬が平気で流通する中国や、「ポストハーベスト農薬」で薬漬けにする米国などの、「安かろう、悪かろう」という農産物が、我が国の食卓を席巻するでしょう。
それだけではありません。我が国は、いま人口減少が進みつつありますが、世界的に見れば人口は年間およそ8千万人ずつ増大しています。すぐに、そして確実に、食糧の奪い合いが始まります。
TPP参加によって、農業に限らず、食糧の生産を破壊するなど、愚の骨頂です。絶対にやめさせなければなりません。
もちろん、TPP参加によって破壊されるのは、農業だけではありません。国民皆保険をはじめ、多くの分野において、日本政府が、国民よりも外国の投資家の利益を重んじなければならなくなります。
あらためて申し上げますが、私はTPP参加に、断固として反対します。
さて、国会議員の給与について、「国民にたいして、納得のいく政治ができ、それに見あった給料をもらっているんでしょうか」とのご指摘がありました。
私自身、納得できる政治は実現できておりません。参議院議員として約12年間、約460回、政府を追及し、特別会計改革で35兆円余りを捻出するなどの成果もありましたが、まだまだ不十分です。そのことは率直にお詫び申し上げます。
「もらい過ぎ」とのご指摘もありました。その答えになるか分かりませんが、私は、ご支援頂いた方への活動報告を、通常国会後、臨時国会後の年2回、お送りしています。毎回、数百万円かかります。費用はかかりますが、国会情勢や課題など、お伝えしなければならないことがたくさんあります。せめてご支持頂いた方には郵便でお知らせすることが、せめてものご恩返しだと思っております。そうしたこともあって、我が家の家計は毎年、赤字です。議員になる前の職で得た退職金も、もう尽きます。
元が「貧農」ですので、私は「欲」を知りません。昔の政治家に「井戸塀」という言葉がありました。古い言葉ですのでご存じかどうか分かりませんが、私はそんな男であり続けたいと思っています。
長文、失礼致しました・・・