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社会保障と被災地を置き去りにした消費税増税ならびに復興特別法人税の廃止は許さない(談話)


2013年9月26日

社会保障と被災地を置き去りにした消費税増税ならびに復興特別法人税の廃止は許さない(談話)



社会民主党党首代行・幹事長
又市 征治

1.政府与党は、来年4月に消費税率を8%へと引き上げた場合の景気の落ち込みを防ぐためだとして、総額5兆円規模の経済対策を検討している。しかし、設備投資や賃上げを促進する政策減税の拡充等(0.5兆円)、公共投資の追加(1兆円超)、政府が出資する投資ファンドの投融資枠の拡大、復興特別法人税の前倒し廃止(0.9兆円)、企業の新規設備にかかる固定資産税の減免など、対策の大半はトリクルダウンの幻想をもとにした「企業優遇、家計軽視」の減税と利益誘導的な公共事業そのものである。低所得層への現金給付(0.3兆円)にしても、実効性のある逆進性対策自体は先送りされたうえ、5兆円規模の経済対策の1割にも満たない規模で、しかも1回限りの措置にすぎない。

2.消費税の増収分をあてにしていたかのように、「国土強靭化」や「オリンピック」を口実にした大型公共事業が実施されようとしている。また、法人税の「成長戦略」を口実とした政策減税として、「思い切った」設備投資減税や賃上げ減税の拡充が盛り込まれる方向だが、日銀の4~6月期の資金循環統計(速報)によれば、企業の現預金は220兆円にのぼっているにもかかわらず、設備投資が進まず、所定内給与も14か月連続で低下するなど賃上げには回っていない。7割の企業がそもそも法人税を払わず課税ベースに穴があいている中で、政策減税の効果は疑問であるし、消費税増税の転嫁に困る中小零細企業の負担軽減にもほど遠い。 さらに、法人税率の引き下げについては、「復興特別法人税」を1年前倒しで廃止することになり、実効税率の引き下げは2015年度以降に実施される方向となった。しかしこれは、「今を生きる世代全体で連帯し負担を分かち合う」という復興基本方針に反し、企業も連帯し負担すべき「復興特別法人税」のみを廃止することは不公平である。なによりも、消費税増税が被災地の復興や被災者の生活再建に与える影響は大きく、被災地を軽視し切り捨てるものだ。復興財源自体は確保するとしても、企業の負担すべき部分を国民にツケ回しする以外の何者でもない。

3.もともと消費税率引き上げは、社会保障制度の「充実」と「一体」であるとの名目で議論されてきた。しかし社会保障については、すでに年金の特例部分の減額や生活保護水準の引き下げが始まり、8月の社会保障制度改革国民会議の報告や「社会保障制度改革プログラム法案」では、70~74歳の医療費自己負担1割特例の廃止、介護の一律1割の自己負担割合の見直し、「要支援1、2」の介護保険サービスからの切り離し、「最低保障年金」を柱とする抜本改革案の見送りなど、社会保障の「充実」どころか、「小泉竹中路線」を踏襲した自己責任原則にもとづく、負担増と給付カットの「痛み」を強いる改革メニューが続々と打ち出されている。

4.この間の税制改正でも、消費税の増税分は、社会保障ではなく、所得税の税率フラット化や法人税等の減税による減収分を穴埋めするかのように機能してきたが、今回の経済対策においても、消費税増税が企業負担軽減のために使われるということが如実に示されている。こうした「不公平税制」を正す抜本改革を放置したまま、社会保障を切り捨て、景気悪化をもたらす消費税増税を実施することは断じて許されない。社会保障の「充実」に役立たず、企業の負担軽減と公共事業ばらまきのための消費税増税を撤回するとともに、GDPの6割を占める家計を温めるための施策を総動員し、内需主導の経済に転換することを強く求める。

以上


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