かくれんぼ


子供たちと遊ぶのが大好きな良寛さまは、
子供達に「良寛さま、かくれんぼしようよ。」を言われれば断れません。
それは良寛さまが子供達を大好きだったことに加えて、貧しい村の大人
たちは子供たちの相手をしている余裕がなかったことを、良寛さまは
よく知っていたのかもしれません。

「かくれんぼするもの よっといで」
「かくれんぼするもの よっといで」
そう子供達が声をかけあうと、
あっちからもこっちからも子供達がたくさん集まってきます。

「じゃんけんぽい。あいこでしょ。」
「あ!良寛さまが鬼だ!良寛さまが鬼になった!」
鬼になった良寛さまは木の幹にもたれ数を数えます。
「ひとーつ。ふたーつ。みっつ。よっつ・・・・。」
子供たちは思い思いの場所に隠れます。
「もういいかい。」
「まーだだよ。」
「もういいかい。」
「まーだだよ。」
「もういいかい。」
「もういいよ。」
「さてさて、どこへ隠れたのかな。」
良寛さまはうれしそうに隠れた子供達を探し始めます。
「ほれ、みつけたぞ。」
「あちゃあ、みつかってしまったっや。」
「ほら。みつけた。」
「あーあ。」
隠れていた子供達は次々に見つかってしまいました。
こんどは子供のひとりが鬼になりました。
良寛さまは隠れる番です。
「さてさて。どこに隠れたらいいものか。」
「そうだ、ここが良かろう。」
そう言って良寛さまは田んぼの稲わらの
束の中に隠れました。
「もういいよう。」そう言うと、良寛さまは稲わらの中で
じっと見つからないようにしていました。
「ほほ。ここなら見つかるまい。」
良寛さまは楽しくてしかたありませんから、
いつまでもじっと隠れていました。

そのうちに日が暮れました。
山へ帰るカラスの鳴き声が「カアカア」と聞こえてきます。
子供達は良寛さまが見つからないものですから、
てっきり先に五合庵に帰ってしまったと思いこみ、
それぞれの家へ帰ってしまいました。

そんなこととは知らずに、良寛さまはいつまでもいつまでも
子供達が今来るか今来るかと待ち続けました。
とうとう夜が明けてしまいました。

農家の人が稲わらを取りに田んぼに来てみると、
おやまあびっくり。
稲わらの中から人間の姿が現れたではありませんか。
「あれま。良寛さまじゃございませんか。
 そんなところで 何をなさっておいでです。」
「これ、静かに!」良寛さまは答えました。
「子供たちに見つかってしまうじゃろて。」

無邪気な無邪気な良寛さまのお話でした。

無邪気で純粋そのもののような性格をもった良寛さまは、その純粋さゆえに
他にもいろいろな逸話を残されています。出家する前に名主見習いをしていた頃にも
純粋な心と正義感のせいで、とても苦労したそうです。

told by mitsurin


良寛さまとかくれんぼのページへ 良寛さまと泥棒と布団のページへ

[トップ] [みつりん] [進学教室佐京] [良寛さま] [四文字英語] [ゴーヤー]
[簡単PC講座] [合格体験記] [アロマ] [逸品] [リンク] [亜木冬彦]