良寛さまとタケノコ

ある夏のはじめの頃のことです。

良寛さまがふと床下を見ると、タケノコが地面から顔を出していました。
そのタケノコはもうすぐ床板に頭がとどきそうです。

かわいそうに。このままでは伸びることができないじゃろうに。

そう思った良寛さまは近所の農家からかなづちを借りることにしました。
タケノコにはクワと決まっているのに、かなづちを借りたいという
良寛さまの言葉を農家の人は不思議がりましたが、こころよく貸してあげました。

さて、五合庵にもどった良寛さまは早速床板をかなづちではがしてあげました。

これでよい。思う存分伸びなされ。

良寛さまはうれしそうな顔でそう言いました。

タケノコはぐんぐん伸びました。

十日ほど経つと、こんどは屋根にとどきました。
それを見た良寛さまは、今度は屋根のむぎわらを抜いて、
屋根に穴をあけそこからタケノコが伸びていけるようにしてあげました。

家の中に生えたタケノコのそばにすわって、まじめにそれをながめていた
良寛さまの様子を見た近所の農家の人は、あいた口がふさがらなかったそうな。

心やさしい良寛さまの一面が伝わってくるお話です。

本文中では「屋根のむぎわらを抜いて」と表現してありますが、別の本では
便所の屋根のむぎわらを、ろうそくの火で焼いて穴をあけてあげようとし、
そのために便所を焼失してしまったとも書かれていました。私が子供の頃に読んだ時の話では
五合庵の床下から生えたタケノコを見つけたので、床板をはいであげて、さらには
屋根にも穴をあけてあげたというふうに記憶しています。「便所に生えたタケノコを
守ろうとして、便所を焼失してしまった」という話を読んだのは大人になって良寛さまの
本をいろいろと読むようになってから知りました。

told by mitsurin


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