独りよがりのトップレベル(2001.7.20)
独りよがりのトップレベル(続)(2001.7.21)
独りよがりのトップレベル(続々)(2001.7.22)
独りよがりのトップレベル(続3)(2001.7.26)
独りよがりのトップレベル(ついで)(2001.7.27)
新聞報道によると、静岡県の石川知事は、行財政改革と情報公開で静岡県は全国トップクラスになったと言っているそうだ。県民だより7月号でも、静岡県が情報公開トップレベルになったと宣伝していた。 独りよがりのトップレベル
もし静岡県が情報公開や行財政改革で全国のトップレベルなら、日本の情報公開や行財政改革は恐ろしくお粗末なものだろう。
つい先日もこのようなことがあった。
7月11日、静岡県では、今年2回目の事業評価監視委員会が開催された。
場所は県庁別館、事務局は建設政策室を中心に、土木、都市住宅、農林の各部があたっている。静岡県の行政評価は、行政評価委員会の行っている政策評価と、この委員会の行う事業評価に分かれている。したがって県政全体の行政評価を考える上では、両方の観点から見なければならない。そこで、この委員会の傍聴をさせてほしいと申し出てみたのだが、申出は全く受け付けられなかった。
傍聴希望者がいることについて委員会で審議されることもなく、事務局サイドで事前にストップである。報道関係者には傍聴を認めているが、一般県民の傍聴は認めていない、それだからだめだというのだ。
そもそも、報道関係者を一般県民と分ける基準などない。
それに、報道関係者に傍聴を認めているのは、非公開にする理由がないからである。ではなぜ一般の県民の傍聴は認められないのか。こんな例もある。
昨年10月、静岡空港地域振興検討協議会がつくられた。空港企画室が事務局になっている。
数ヶ月前、静岡空港建設による経済波及効果を調査する方針が決まり、この協議会で調査方法や委託先などについて正式決定されると聞いて、空港企画室に傍聴を申し出てみた。
そこでも全く同じ反応だった。
一般県民の傍聴は認めていない。報道関係者の傍聴は認められているから公開はしている。ではどういう人たちが報道関係者かというと、はっきりした線は引けない。記者クラブのことが問題になっているから、さすがに県政記者クラブの人に限るとは言えない。説明に困って、大きな新聞社やテレビ局の人などと言った。
空港の是非をめぐって住民投票が問題になっている時期だ。
空港建設の経済波及効果を調査するなら、誰がどのような方法で行うのか、それが決まる過程ははっきりと見ておきたい。しかし、それは許されていないのである。情報公開室が行った調査では、会議の公開について、空港問題で反対派などの対策ができていないことを非公開の理由としてあげていた室もあった。
こんなばかげた理由で、静岡県では、総合計画を審議する委員会さえも公開されていない。これが静岡県の現状なのだ。
こんなことで、情報公開制度の目的である、県民参加や開かれた県政が実現できるわけがない。もしこれで静岡県がトップレベルに見えてしまうなら、むしろそのことのほうがよほど問題ではないか。
いったい何のための情報公開なのか?
一番大切な問題点が全く見えていないから、このような形だけの制度の導入でトップレベルだなどと言っていられるではないのか。むしろ、「県民参加」という情報公開の究極の目的が、現実には受け入れられていない現状があるということを、「トップレベル」や「トップクラス」という、うわべだけの言葉で覆い隠そうとしているように見える。
これでは、本当の意味で情報公開制度が根付くのを期待することなどできはしないではないか。
2001.7.20 (つづく)