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省庁交渉 省庁交渉の記録


2002年度



環境省
国土交通省
文部科学省
経済産業省

厚生労働省


添付資料
アスベスト除去に関する緊急アンケート/アスベスト除去業者への聞き取り調査
「労働安全衛生法施行令の一部を改正する政令案」に対する意見




アスベストの全面禁止の実現及び抜本的な
既存アスベスト・健康影響対策の確立に向けた要請


2002年度
2003年7月(9月は予定) 

国土交通大臣 扇 千景 殿
経済産業大臣 平沼赳夫 殿
環境大臣 鈴木俊一 殿
文部科学大臣 遠山敦子 殿


                                            2003年6月

関係大臣殿
                              石綿対策全国連絡会議
                              代表委員 加藤 忠由 (全建総連委員長)
                              竹花 恭二 (自治労副委員長)
                              富山 洋子 (日本消費者連盟運営委員長)
                              広瀬 弘忠 (東京女子大学教授)
                              〒136-0071 東京都江東区亀戸7-10-1 Zビル5階
                              PHONE(03)3636-3882 FAX(03)3636-3881
                              URL: http://homepage2.nifty.com/banjan/
                              Email: banjan@nifty.com


      アスベストの全面禁止の実現及び抜本的な
           既存アスベスト・健康影響対策の確立に向けた要請


日頃の貴職のご活躍に敬意を表します。
昨年6月28日の坂口厚生労働大臣の「アスベスト原則禁止導入」方針表明を受けて、12月12日に「石綿の代替化等検討委員会」が設置され、本年3月にその報告書がまとめられました(4月4日公表)。これを踏まえて、厚生労働省は5月2日、アスベストの新規使用等の禁止に関する、労働安全衛生法施行令の一部を改正する政令案を公表し、その実施に向けた作業が現在進められています。政令案は、現在市場にでまわっていることが確認されたアスベスト含有製品10品目(建材5製品、非建材5製品)のうちの、7製品(建材5製品、非建材2製品)について、アスベスト含有製品の製造、輸入、使用等を禁止するとしており、代替品が存在するにもかかわらずアスベストが大量に使用されていた建材すべての使用等を禁止するとした点では評価ができますが、不十分な点も多く、将来のアスベストの健康影響を懸念して活動してきた私たちは、以下の5点を要望します。

第1に、アスベストを原則全面禁止とし、使用許可製品を限定すること。
安全等のリスクを起こす可能性からやむなく使用を認める限定的な製品を除き、将来の健康リスクを重視し、アスベストの新規使用を原則全面禁止とする観点にたつことが何より重要と考えます。政令案では、現在市場に存在する製品に限定した禁止の規制のため、過去に使用された様々な有害なアスベスト製品が今後も使用可能という、法的には抜け道の多い案となってしまっています。一例を挙げれば、今回の規制案では、アスベスト含有量が1%以下で、一定の要件さえ守れば、(クロシドライト、アモサイト以外の)アスベストの吹き付けすら可能です。今後の健康影響が最も懸念される建築材料では、5種類の建材製品の禁止の列挙にとどめず、アスベスト含有建材製品の全面禁止とすべきです。非建材では、経済的コスト等別の観点から非建材のアスベスト製品の継続使用が可能な案とせず、物理的条件・工程を限定したジョイント・シール材等に限定した使用許可とすべきです。

第2に、2005年までに、アスベスト禁止を実行に移すこと。
諸外国の禁止に合わせ2005年禁止の実行を明示し、継続使用が認められる限定的製品も代替製品の開発状況を考慮して、3年ごとの見直し条項を明定することが必要です。

第3に、アスベスト含有製品の定義を含有率0.1%以上と改めること。
石綿は他の鉱物に混入していること、及び、化学物質管理促進(PRTR)法では発がん物質の規制は0.1重量%以上含有する製品を対象にしていることをふまえ、アスベストを0.1%以上含有する製品全体を規制の対象とするように改めることが必要です。

第4に、代替化促進策と同時に、アジア等の地域への生産やリスクの移転を防止すること。
代替化促進の経済的施策の実施とともに、経済的に恵まれた国での有害製品の製造禁止が、他の諸国での製造の代替と健康影響の輸出及び製品の輸入とならないように、国際的な健康影響を考えた施策の実施が必要です。
石綿対策全国連絡会議絡会議としては、すでにパブリックコメント手続に応じて意見を申し述べたところです(添付資料参照)。なお、昨年度、私たちは、アスベスト除去業者に対するアンケート調査に加え、聞き取り調査を実施しており(添付資料参照)、その結果、吹き付けアスベストとアスベスト含有建材に対する早急な対応が行われないと、今後の健康影響は一層深刻なものになると考えられ、ひいては政府の責任問題にも発展しかねないと考えています。

アスベスト対策は、前述した@新規使用等の規制のみならず、A既存のアスベストからの飛散の防止対策等、B生じうる健康影響への予防、生じた健康影響の早期発見、手厚い治療と補償等、の3点が総合的に必要です。

第1に、既存アスベスト対策に関しては、吹き付けアスベスト対策、アスベスト含有建材対策、その他の製品の対策、の3点が必要と考えます。現在の吹き付けアスベスト対策は不十分であり、吹き付けアスベストの存在する環境で過ごした労働者や住民の中皮腫例(疑い例)が出現しつつあります。現行の吹き付けアスベスト対策は、主として通達レベルであり、劣化を含めた調査や除去対策が法的に十分とはいえない面があります。吹き付けアスベストに接しうる作業の原則的禁止、建物所有者に吹き付けアスベストの劣化状況の定期的観察の義務づけ等が求められています。とくに天井裏に吹き付けアスベストのある際に、アスベストを除去せずリフォームを行い、アスベストを飛散させる例が現在も見られます。天井裏に吹き付けアスベストのある区画の改修・改築時には、吹き付けアスベストの事前除去を原則とすることが法的に必要でしょう。また、吹き付けアスベストのある区画で除去工事を行う場合には、天井材の除去時から飛散することを考え、あらかじめ飛散防止の養生を行うように、対策を強化することを、私たちは求めます。

第2に、アスベスト含有建材に関しては、国土交通省が「建築改修工事共通仕様書(平成14年版)」等で述べているように、吹き付けアスベスト対策と同等の配慮が必要であり、今後、民間の工事にもこの対策を広げていく必要があります。少なくとも多くの民間工事で何の対策もないままで、天井のバール破砕が行われている現状を考えると、最低限開口部養生を行うか、施主に手ばらし解体ができるだけの十分な改築費を出すように義務づけたり、国が助成したりすることを行わないと、アスベスト飛散は減少しないと考えます。現状では、他の建材にもアスベストが付着したまま、リサイクルが行われることになっている疑いも高いわけです。

第3に、その他のアスベスト含有製品に関しては、アスベスト含有製品の特定自体が十分行われていない場合も多いのです。アスベストを使用した製品を製造した会社名、製品名と製品の写真やカタログ、製造年代と市場に流通した年代(製造中止後もメインテナンス含め数年以上流通する例が多いため)を明らかにすることは、まず、製造した会社の当然の責任ですが、国も強力に製造した会社を指導監督する必要があります。アスベストは飛散しやすく、工場等の一定範囲に拡散するが気づかないため、一定の割合の被災者が、自分がアスベストに曝露したことすらわからないでいる場合も多いからです。製造会社と流通過程を明らかにすることは、同時に、曝露労働者の退職後の健康対策の実施とも関係する重要な点です。

いずれの場合も、既存アスベストの所在の確認、その管理・処理から廃棄に至るまでの首尾一貫した対策の確立と、住民・労働者を含めた関係者のリスク・コミュニケーションが適切かつ十分にはかられることが決定的に重要です。私たちはまた、健康対策として、過去の中皮腫の全数調査を実施することにより、職業性曝露対策、環境曝露対策の確認をはじめ、十分な治療環境の実現と、医師へ労災認定基準を十分周知徹底すること等を求めます。行政の不作為を起こすことなく、省庁を超えて総合的に、今後のアスベストによる健康影響を最小化するよう努力されることを強く要望します。



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