『天使の泉』チャリティーコンサートによせて |
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聖路加国際病院 小児科部長 細谷亮太 | ||
昨年夏もがんの子供たちたちとキャンプをあいました。病気のことをしらされている子どもたちとボランティアで総勢百人。二台のバスに分乗して三浦半島へ出かけました。 毎日新聞社の「がん征圧キャンペーン」に寄せられた募金の一部が軍資金となり一昨年から始まったこのキャンプは「スマートムンストン」サマーキャンプといいます。言い出しっぺの私(細谷)、東邦大の月本、順大の石本の細月石を組み合わせて参加者の一人が名付けてくれました。細がスマート、月がムン、となっているのはご愛嬌です。 バーべキュー、磯遊び、ヨット、乗馬など、もりだくさんのプログラムでとても楽しいキャンプになりました。日中の活動に加え、夜の「お話し会」が大好評でした。ここで大活躍のボランティアは「もと患者」の人たちです。治療は終ったのに体がだるく朝起きできない子、学校でいじめられている子、就職や結婚について心配している子、そんな子にとって、同じように悩みを克服してきた先輩のアドバイスは何よりのものなのです。 わきでやりとりを聞きながら「みんな、えらい」と一人ずつギュと抱っこしてあげたいような気にまりました。そして |
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〜本当に治ったんだな〜と思いました。 | ||
私が医者になりたての頃、小児がんは「不治の病」でした。たまたま見つけられた固形腸瘍のきわめて早期のものの、そのまた一部が命びろいするような、そんな時代でした。 情報もゆっくり伝わってきていました。海の向こうの研究者たちが、小児は治るのだという確信を持ちはじめていたのに、日本ではそんなことを口にする医療者はいなかったのです。 あれからたった四世紀半で、この分野のコンセプトはがらっと変わりました。 治る時代になって、まだ治らない子どもたちをどう治すかがさしせまった問題になってきました。 病気の子どもたちのことを本気で考えてくれる世の中になってこそ、私たちのの未来が開けてくるのです。 今日、皆さんがこの「天使の泉」チャリティーコンサートにおでかけいただいたことに関係者の一人として心からお礼を申しあげたいと思います。ありがとうございました。 |
2007年10月“生きる”小児がん征圧「天使の泉」inロータリー終演●新聞 | ||||||||||||
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