睡眠剤二種類以内に調整します.当院では新型二種をお勧めします。
GABA受容体刺激剤であるデパス(エチゾラム)等で慣れきった状態では、同類のベンゾ、非ベンゾの眠剤は効果が低下しています。その状態の方には新型二種(ベルソムラ,ロゼレム)で従来の作用機序とは違う眠剤が有効です。
○危険睡眠剤(自殺完遂者の薬剤分析結果)として、ラボナ、べゲタミン(合剤)、ヒルナミン、ロヒプノール/サイレースがあげられました(精神神経誌2016年2月号)。当院では他の薬剤への置換を今後提案していきます。追記:べゲタミン(合剤)は2016年6月で製造中止になりました。12月には完全中止になりました。
国の指導で、睡眠剤は二種類以内にすることが26年度から行なわれています。
(他の指導としては、強力安定剤、弱力安定剤、そして抗うつ剤がそれぞれ2種類となっています(28年4月現在))。
睡眠剤については、より安全な薬物が求められています。
当院では、若い人にも老齢な人にも安全な薬を提案しています。
たとえば、2014年11月から世界に先駆けて日本から発売が始まったスボレキサント(商品名ベルソムラ)です。
従来の睡眠剤と違ったメカニズムです。この薬の発見にはノーベル賞候補の日本の研究者が関与しています
従来の睡眠剤で以下の問題が生じている、つまり不自然な睡眠状態の方に有効です。
1)「寝落ち」(眠気の前兆なく睡眠状態に入ること、つまり、まどろみの感覚喪失)
2)2種類以上の従来の眠剤内服でも入眠に2,3時間以上かかる、つまり耐性が成立している
3)夢の記憶がなくなっている。つまり、夢を見なくなっている。
以上の問題を持っている方々に、試みる価値があります。
スボレキサントにより、眠気、あるいは夢の記憶が再開される、耐性が解除される可能性があります。
しかし、金縛り体験が出やすい方、あるいは、悪夢が出やすい方は残念ながら変更対象ではありません(追記:漢方での併用で克服できる方法もあります。ご相談ください)。
●メラトニン類似眠剤(ラメルテオン、商品名ロゼレム)についてもお問い合わせください。
体内時計の修正から自然な睡眠を誘発します。18時に内服するか、従来通りに眠前内服かの、二通りの内服方法があります。電波時計のように、身体全体の細胞にある時計機能に情報を発して、爪先から頭のてっぺんまで、夜モードにします。