
1912年(明治45年)4月、官設鉄道の真岡軽便線として下館〜真岡間が開業し、1913年(大正2年)7月に真岡〜七井間が開業して、当初予定していた全区間が開業しました。
その後、烏山方面への延伸計画が持ち上がり、茂木を経由のルートが選定され、七井〜茂木間が1920年(大正9年)12月に開業しました。茂木から先、烏山方面に向かう路盤も完成していましたが、実現しないまま今日を迎えています。
1922年、路線名を真岡線に改称。ちなみに、第3セクター転換まで真岡は「もうか」とされていて(以前は「もうか」「もうかせん」だった)、「もおか」という読みに正されるのは、真岡軽便線開業から76年後の1988年になってからでした。
国鉄時代は、下館から水戸線の小山まで乗り入れ運転を行っていましたが(上野直通の準急が走っていたこともありました)、国鉄末期になると乗り入れは行われなくなり、利便性は低下しました。
国鉄末期には赤字路線として廃止対象となりましたが、沿線自治体が中心となって存続活動を行った結果、JRから分離しての存続が決定。
JR開業までに準備が間に合わないということで、わずかな期間はJR真岡線として運行した後、第3セクター鉄道・真岡鐵道として存続しています。
なお、「鐵道」と旧字体の「鐵」を使っているのは、「鉄」では「金」(カネ)を「失う」ので、という理由からです。

かつては蒸気機関車牽引の列車が行き来していた路線ですが、戦後はキハ25系など気動車を投入しての運転となりました。
また、気動車準急・急行網が全国に張り巡らされていた時代には、真岡線から上野直通の準急(後に急行)「つくばね」(下館で水戸行きの「つくばね」と分割併合、間々田で両毛線からの「わたらせ」と分割併合を行うという「多層建て列車」でした)も走っていました。
第3セクター転換直前には、まるで路線存続を祝うかのように、キハ45、キハ40/47、キハ28など、普段目にすることがない車輌も入線しています。
第3セクター転換後は、富士重工製のモオカ63形が入線。2002年から新型・モオカ14形。
また、蒸気機関車の動態保存でも知られ(C11 325、C12 66)、週末や長期休暇中などを中心に「SLもおか号」として通年運行しています(通年の定期SL列車としては、東京から最も近い路線)。時折、小山からの出張運転(小山→下館間は水戸線、下館からは通常の運転で、下館→茂木、茂木→下館、回送を兼ねて下館→真岡)も行われます。
開業時に導入されたレールバス・モオカ63形の老朽化が進み、代替車輌の導入が待たれていましたが、最近軽快気動車タイプの新型・モオカ14形の導入が始まりました。

第3セクター移行後は、加減速性能が良いレールバスが導入されたため、列車の走行性能が改善。
新駅の設置も相次ぎ、1988年4月の真岡鐵道開業と併せ、下館〜折本(おりもと)間に下館二高前駅、1989年3月には西田井〜益子(ましこ)間に北山駅、1994年3月には折本〜久下田(くげた)間にひぐち駅、市塙〜茂木間に笹原田駅と天矢場駅が新設され、利便性の向上が図られています。
また、折本駅で交換設備の新設が行われているのは特筆に値する話題です。「SLもおか」号や編成長が長い臨時列車(「ツインリンクもてぎ」で大規模なレースが開催されるときなどに運行されることがある)でもすれ違い交換できるよう、併走する国道294号バイパス側に待避線とホームが新設されています。
乗降客数では比較になりませんが、駅としての風格では同じ筑西市内にあるJR水戸線の玉戸(たまど)駅よりはるかに立派な駅にとなりました。
しかし、列車の運転本数が少ないこと(とはいえ、最低限1時間に1本は確保されています)、運転時間帯も終列車が早いこと(下り終列車の下館発は22時33分)、第3セクター鉄道に共通する問題として運賃が高いこと、それに少子化の影響(通学利用が大きなウェイトを占める地方路線では一大事!!)もあって、一般客の増加についてはなかなか苦戦しているようです。
土休日には関東鉄道常総線の全線+真岡鐵道の下館〜益子間がフリー区間となる「常総線・真岡鉄道線共通一日自由きっぷ」(2,300円)が発売されていますが、平日は今のところ割引切符の設定はありません。
……記憶違いでなければ、確か土休日に1,500円で乗り放題の割引切符があったような……。

先に挙げた理由に加えて、無秩序なクルマ依存が蔓延し、高規格の国道バイパス開通も相まって、利用客は減少傾向にあります。
SL運転での知名度は高く、週末は観光客(SL、益子焼)が多く利用しますが、平日を中心とした利用促進が不可欠です。
【JR水戸線への乗り入れ、小山への直通運転について】
もっとも有効な利用促進策は、かつて国鉄時代に行われていたように、下館からJR水戸線に乗り入れて、小山まで直通列車を運転することです。
現在、水戸線小山までの直通運転復活も睨んで、転換開業以来使用してきたモオカ63形の後継車となる新型車輌・モオカ14形への置き換えが進んでいます。
小山からは宇都宮線だけでなく、新幹線や湘南新宿ラインが使えて便利なので、直通のメリットは非常に大きいのです。
使用車輌については、モオカ14形の導入が進んでいますが、今後はJR東日本が開発しているハイブリッドディーゼルカー・キハE200のような車輌の導入を検討しても良いと思います。
【関東鉄道 常総線との連携強化について】
既に土休日の共通割引切符は実現していますが、常総線との連携をさらに強化(列車の接続、優待運賃など)すれば、TX〜常総線経由で「SLもおか」号を利用するルートも確立でき、新たな売りになるでしょう。
2005年12月10日改正ダイヤでは、常総線快速の運転本数が増え、朝方の下り快速で守谷825発→下館912着、夕方の上り快速で下館1716発→守谷1801着という、(ちょっと中途半端な時間ではありますが)「SLもおか」との接続をちょっと意識したかのような快速が新設されます。
この流れを推進して、さらに利便性を増すよう各方面に努力をお願いしたいところです。
【路線バス、コミュニティーバスとの連携強化について】
真岡線に限ったことではないのですが、古くからの地方路線の場合、駅の場所と現在の街の中心が必ずしも一致しないことがあり、そのまま放置すると、現在の街の中心から駅まで遠い→鉄道は不便、クルマで……という、環境の世紀・21世紀とは思えない「退化」が進行してしまいます。
現在の街の中心を経由する新線を敷設してしまうのが抜本的な解決策ですが、費用面の問題と迂回による所用時間ロスが発生します。
既存の設備を最大限活用して、比較的安価に解決するためには、路線バスやコミュニティーバスとの連接強化を図るという手があります。積極的なPRと同時に、運転本数の確保(30本に1本とか)や運転時間帯の拡大(始発〜終列車に対応)など、諸問題をクリアする必要があります。
また、ホームの高さで列車からバスに段差なしで乗り換えられるよう、ホーム周辺の改良(バスの発着場をかさ上げして、ホームに横着け可能にする)や、鉄道との通し運賃制導入など、乗客の立場に立った施策が求められます。
【宇都宮LRT計画との連動について】
注目すべきは、宇都宮市のLRT※注導入に絡んで、LRT路線の真岡方面への延伸が盛り込まれていることです。
これが実現すると、下館〜真岡〜宇都宮ルートが確立できます。また、茂木から「ツインリンクもてぎ」への路線新設が実現すると、交通渋滞緩和・輸送力増強に効果絶大です。
どのみち、宇都宮市内の路線が開業しないことには連動も何もないのですが……。
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