
かつて活発だった鬼怒川の水運に替わる交通手段として1913年11月に開業し、戦後は取手側が東京のベッドタウンとして栄えたため、水海道までは複線化されました。
1945年3月に初代の筑波鉄道と合併して常総筑波鉄道となり、その後鹿島参宮鉄道(鉾田線、龍ヶ崎線)とも合併して関東鉄道となり、営業距離や保有車両数が非電化私鉄としては最大となりました。
しかし、1979年に赤字路線の筑波線を筑波鉄道(1987年廃止)、鉾田線を鹿島鉄道として分離し、現在は常総線(下館〜取手)と龍ヶ崎線(佐貫〜龍ヶ崎)の2路線のみとなっています。

古くは蒸気機関車牽引の列車が走り、戦後の混乱期には疎開で増えた沿線住民に対応する為、各地からさまざまな経歴の車輌を客車化して使用(電装解除した電車なんかも投入)していたこともありますが、後に日本屈指の気動車天国となっていきます。
地元でも知る人は少なくなりましたが、かつては特急「しもだて」が下館〜取手間を約1時間で走破(!!)していましたが、以降優等列車の設定はなく、2005年8月24日(水)からの快速運行開始までは各停のみの運転でした。
以前は「気動車の見本市」と称されるほど各地の鉄道から雑多な車輌が入線していましたが、JRで不要となったキハ30/35系が大量入線すると一気に車種統合が進み、多くの特徴ある車輌達が廃車されました。
現在は、自社発注のキハ0形(旧国鉄キハ20系の車台を再利用)とキハ310形(旧国鉄キハ16/17の車台を再利用)、元キハ30のキハ300形、元キハ35/36のキハ350形(キハ36は入線時にトイレを撤去)、新世代車輌の先がけとなった軽快気動車キハ2100形、ワンマン単行型キハ2200形、キハ2100形の改良型キハ2300形、キハ2200形の改良型キハ2400形が在籍しています。
軽快気動車以前の車輌で現存しているものは、ほとんどが機関・変速機の換装、冷房装置取り付けなどの更新工事を受けています。

2005年8月24日(水)のつくばエクスプレス開業に合わせ、守谷で連絡する常総線もダイヤ改正を行い、運転速度の向上(80km/h→90km/h)と、快速運行が始まっています。
快速の停車駅は、下館・下妻・石下・水海道・守谷と、守谷〜取手までの各駅。下館〜守谷間46分で、下館から快速を利用してTXに乗り継ぐと、80〜90分で浅草や秋葉原に行けるようになりました。
また、このときに車輌運用も変化。以前は取手〜水海道は2両編成以上、水海道〜下館はワンマン/単行(1両)ということが多く、時刻表では下館〜取手直通と書かれていても、実は水海道乗換(同じホーム上で乗換)という列車が多かったのですが、この改正以降は下館・下妻方面行き列車の多くが水海道以北へ直通運転を再開するようになりました。
水海道以南では、従来最大4両編成だったところ、改正後は守谷以南の乗客減少を予想して全列車を2両編成としたものの、朝のラッシュ時間帯に2両では対応しきれないため、ほどなく4両編成での運転を再開しています。
列車運転本数は、運転本数が少ない下妻以北についても朝3〜4本/時、日中30〜45分に1本、夜2〜3本/時という頻度で、下館駅を発着する鉄道路線としては水戸線以上の運転本数となっています。
ただし、運転時間帯は下館駅で6〜22時台で、水戸線の5〜23時台よりは短めです。
2005年8月24日改正でも下館への終列車時刻が繰り下がらず、秋葉原2024発(早過ぎる!!)のTX区間快速→守谷2108発の常総線下り(水海道乗り換え)に乗れないと下館には帰れないという状況は変わっていません(下妻へは守谷発2300過ぎの終列車があります)。

速度アップ&快速運行開始で、少なくとも所要時間の面ではJR利用より優位に立ちました。が、下妻以北の利用促進がまだまだ不十分です。
【課題:割引切符の導入について】
元々基本運賃が割高で、取手経由の所要時間が長かったこともあって、小山経由で東京方面に行ける下館周辺の住民は「常総線は遅い・高い」という固定観念が強く、いまだに敬遠する傾向があります。しかも「ホリデーパス」「週末フリーパス」など割引きっぷを使うと、かなり運賃に格差が出てしまいます。関鉄も各種割引切符は用意してますが……。
9月からは本命といえる「TX&常総ライン往復きっぷ」(2日間有効で、茨城側だけでなく都内でも販売)が登場。下館〜秋葉原は3,080円で、JRの「東京自由乗車券」(下館→都区内→下館)3,100円より辛うじて20円安くなりました。
しかし、さらなる利用促進を図るには、例えば常総線&TX線が1日乗り放題の切符(平日2,500円/土休日2,000円)を発売するなど、インパクトのある切符を用意する必要はありそうです。
【課題:増発、スピードアップについて】
2005年12月10日のダイヤ改正で、快速の増発(3往復→6往復)は実現しますが、途中駅での緩急接続が実現するかは11月25日時点では不明です。
現状でも下妻駅では緩急接続ができるはずですが(上り側は島式ホームで、本線に快速、待避線に各停を入れれば同一ホーム上で乗り換え可能)、より本格的な緩急接続を行うには、下妻駅や石下駅で駅構内の配線改良(下妻:下り側も島式ホームにして待避線を新設、石下:上下線とも島式ホーム化&待避線新設か、島式2面で3線構造にして、本線を両ホームでサンドイッチする)が必要です。
また、快速の速達効果を増進するには、高速で進入できるポイントへの付け替えが必要(多くの駅が35〜40km/h制限、駅進入時にはかなりの減速を伴い非効率)となります。
TX開業に連動して運転本数は増えましたので、さらなる増発と運転区間延長を図り、パターンダイヤ化や、下館方面の始発時刻繰り上げ、終列車時刻の繰り下げ(秋葉原2200〜2230発でも下館に帰れれば……)を行うと良いでしょう。
【課題:TXへの直通乗り入れ、新車両導入について】
また、究極的には連絡線を新設してTXへの乗り入れも検討すべきでしょう。TX守谷からTX車両基地へ延びる引き込み線を利用して、車両基地から常総線への連絡線を新設することになります。実際、守谷にあるTX車両基地と常総線の線路はかなり近く(1km以内)、周辺は畑や林が多いので、用地買収・路線新設は比較的容易と思われます。
路線の接続・列車の乗り入れが実現する場合、ディーゼルカーを地下区間に入れられるなら、キハ75系(JR東海)、キハ201系(JR北海道)クラスの高性能ディーゼルカーを投入すれば良いのですが、それが無理なら交流20,000Vで電化するか、ディーゼル・電気併用のハイブリッド車輌の導入が必要となります。
先日、JR東日本がハイブリッドディーゼルカー・キハE200系を導入すると発表しました。ディーゼルエンジンで発電してモーターを回す電気式ディーゼルカーにハイブリッド機能を搭載した車輌で、電車と同じくモーター駆動となりますので、調整さえ行えば電車との協調運転も容易と思われます。
関鉄が導入するとしたら、130km/h対応化、必要なら架線集電も行えるように改良を行えば、秋葉原〜守谷はTXと併結運転、守谷からは単独運転……ということも可能となり、これによる直通効果は絶大です。
|