
開業は1889年、当初は水戸鉄道として開業しましたが、1892年に日本鉄道が買収しました。1895年には後に常磐線となる日本鉄道海岸線が友部まで延伸し、既に開業済みの友部〜水戸間を経由して路線を北に延ばしていきました。
第二次大戦中は、常磐方面からの貨物列車迂回ルートとして複線化する計画もあったようですが、敗戦により実現しないまま立ち消えになっています。
電化にあたっては、筑波山麓にある地磁気観測所の存在がネックとなりました。観測結果に影響を与えないようにするには、同観測所から30Km園内では直流1,500V電化が行えません。
このため、小山〜小田林(おたばやし)の間にデッドセクション(交直境界の無電区間)が設置され、以西は直流1,500V、以東は交流20,000V(50Hz)で電化。ここを通過する際、電源切り替えに伴い車内の照明や空調が一旦落ちます(最近の車輌では照明が落ちないものもあります)。知らずに乗っていて驚く乗客もいます。
なお、小山駅構内に入らずに東京方面に行けるよう水戸線〜東北本線を直結する短絡線が設けられ、直通貨物列車や準急(後に急行)「つくばね」などが使用していましたが、近年は使用されることもなく、架線が撤去され、草に埋もれた状態で放置されています。

電化前は、朝夕のラッシュ時は蒸気機関車牽引の客車列車、気動車普及後は日中の閑散期にキハ25系が2〜3連で運用されていました。全国的に気動車準急が普及していた頃には、水戸線にも準急「つくばね」が設定され、下館駅で水戸方面行き編成と真岡線・真岡方面行き編成の分割・併合が行われていました。
電化後は、交直両用の401系・403系が導入され、1980年代までEF80牽引の旧客(旧型客車)普通列車も設定され、電車とは異なる風情を堪能できました。
東北新幹線開業までは、勝田〜上野(勝田〜結城は普通扱い、結城で小山行きディーゼル各停に接続し、結城〜上野は急行)を直通する便利な急行「つくばね」(453系)も1往復ですが走っていました。
その後、一時期は試験的に快速も設定され、時間短縮が実現しました(下館〜小山約15分)が、運行時間が中途半端だったこと、運転本数が少なかったこと、通過駅周辺自治体から「通過するとは何事だ」といった反発もあり、わずかな期間で消滅しています。
貨物列車は近年までわずかに残っていましたが、既に廃止。現在は交直両用の415系電車による普通列車(無人駅に停車しない列車もあり)と、485系臨時快速が走ります。このところステンレス車体の415系1500番台を見かけることが多く、鋼製415系を出会う機会は随分減りました。

良くも悪くも、10年前と比較してもほとんど変化がない路線です。
問題は、使用車輌も変化がないことで、いまだに現役の403系や、415系の初期型などは、現行車輌を見慣れた目には陳腐化が隠せなくなりつつあります。
小山で接続する宇都宮線は、長らく使用されてきた115系がE231系へ置き換わり、下館から分岐する真岡鐵道も関東鉄道も新世代車輌が導入されているので、さすがに見劣りが……。
朝夕ラッシュ時は最短20分ごと、日中は約30〜60分ごとに列車があります。下館〜小山の区間列車もあります。
朝夕は水戸方面への直通列車が多い一方、日中は友部乗換となる列車が多くなります。友部で水戸方面(常磐線下り)列車への乗換は同一ホーム上で行えますが、水戸からの場合は跨線橋を越えることになるので注意が必要です。
【始発列車】
・上り……下館 5:05発→小山 5:23着
・下り……小山 5:25発→下館 5:43発→友部 6:22着
【最終列車】
・上り……下館 22:46発→小山 23:05着
下館以東/勝田 22:10発→下館 23:23着(下館止まり)
・下り……小山 23:11発→下館 23:29着(下館止まり)
下館以東/小山 22:08発→下館 22:31発→勝田 23:39着
下り最終列車で下館以東へ向かう列車は、以前よりも運転時刻が繰り下がっています。
2005年7月、老朽化した403系や鋼製415系の置き換えのため、そして「つくばエクスプレス」への対抗策として、やっと交直両用の新形式・E531系の導入が始まりました。しかし、水戸線での運用はまだです。
朝の通勤通学ラッシュ時、下館〜小山の混雑は(列車にもよりますが)相当なものがあります。最も混雑する下館7:30発の小山行きなど、どう考えても7両編成が適正ですが、相変わらず4両編成(415系1500番台/ロングシート)のまま。
しかも、時折ですが鋼製415系のセミクロス車が入ってきて乗客を苦しめます(身動き取れない程に混雑しているのに、セミクロスだと車内の移動が円滑に行えず、3扉車なので乗降にも余計に時間がかかる)。
7両編成が無理なら、せめてE531系5両編成(3両はセミクロス車だが、4扉なので乗降は比較的スムーズ)が乗り込んで来るだけでも随分乗客サービス向上になる筈です。

今後ほぼ並行するルートで高速道路・北関東自動車道が開通すると、水戸〜宇都宮の高速バスが登場しかねないなど、とにかく不利な材料が増えます。
また、並行する国道50号のバイパス整備が進むと、従来以上にクルマ利用への流出が増えてしまうことも懸念されます。
ジリ貧になる前に、打てる手を打って、先々への布石とすべきだと考えます(どうもJR東日本の施策を見ていると、手遅れになってからやっと動くような感じがして、沿線住民として不安ですし不満を感じます)。
思い切って下館〜小山間を複線化して、快速運転も復活させる……というのがベストかも知れません。
【課題:使用車輌の改善について】
E531系の導入が進めば、やがて旧式化した403系や415系初期型は淘汰されていくのでしょうが、ステンレス車体の415系1500番台はまだ車歴が浅く、今後も継続使用することになるでしょう。
ここで問題になるのは、415系1500番台の走行性能です。車体は211系と同じながら、足回りは鋼製415系と併結するため、あえて旧式の415系と共通の機器を搭載しているのです(ただし、台車は211系と同じ空気バネのボルスタレス台車で乗り心地はいい)。
しかし、併結相手となっていた鋼製415系が淘汰されてしまうと、走行装置を共通化しておく意味がなくなり、旧態依然とした走行性能のまま放置するのは不経済となります。
そこで、この機会にE531系と併結はしないまでも、走行装置の更新により同等の走行性能へとの改良すべきでしょう。
また、現在1500番台はほとんどがロングシートなので(7両編成はセミクロスシート車がある)、転換クロスシート(それが無理でも、せめて快適な新型セミクロスシート)への換装などによる居住性改善も併せて実施すべきだと思います。
朝のラッシュ時はともかく、日中以降の時間帯はロングシートが必要なほどには混雑しません。だからこそ、乗客が「快適だ」と感じるような車内設備を整えておき、「また利用したい」と思ってもらうことが肝要となります。
そういえば、宇都宮線・高崎線の211系にもグリーン車が導入されることに伴い、グリーン車が組み込まれる編成からはサハ211が同数(2輌)「引き抜かれる」ことになります。
この余剰サハを電動車改造、またはサハのまま、415系1500番台の4輌編成に組み入れて5輌化するというのはどうでしょうか。サハのままの場合は、電動車ユニットの改良を行わないと走行性能が低下します。
ところで、1985年の科学博に合わせて新製された415系700番台も、何らかの形で残存するんでしょうか。
|