茨城県西 鉄道ファン 2005年11月28日(月) 公開 / 2005年11月30日(水) 更新

(左上)クハ411-524。小山駅15番線ホーム。(左下)クハ415-1601。小山駅15番線ホーム。(中央)1986年頃の秋、夕陽の中を突っ込んできた415系。下館駅付近にて。(右上)2000年1月、485系「やすらぎ」。下館駅2番線ホーム。(右下)1984年1月、EF80牽引「水戸線95周年記念号」。下館駅4番線。

JR水戸線
関東鉄道 常総線
真岡鐵道 真岡線

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つくばエクスプレス開業

関鉄常総線・快速運行

真岡鐵道・「SLもおか」号の旅

1985年・関東鉄道常総線 水海道車両基地

1988年4月・国鉄真岡線から第三セクター真岡鐵道へ

2002年8月・往路「銀河」、復路「かすが」「ちくま」急行強行軍

2002年8月・上田交通で別所温泉へ

2003年9月・雄大な大地を駆ける「ふるさと銀河線」の旅

2004年2月・鹿島鉄道 鉾田線→鹿島臨海鉄道 大洗鹿島線 乗り継ぎ旅

2005年3月・惜別 赤い電車……日立電鉄 無念の廃止

2005年8月・JR西日本 関西本線 急行「かすが」爆走

TX&常総線、車両基地公開

JR水戸線
 (小山〜友部/単線/交流50Hz20,000V・小山〜小田林間に交直分岐点、以西は直流1,500V)

 小山〜友部の50.2kmを結ぶ電化路線です。
 旧・日本鉄道が現在の東北本線を開業した後、小山(おやま/栃木県)と、水戸黄門や梅の名所・偕楽園で知られる水戸を結ぶ水戸鉄道として開業した路線です。
 実は常磐線より早く開通した路線でもあります(現在、友部〜水戸は常磐線)。

路線の沿革
 開業は1889年、当初は水戸鉄道として開業しましたが、1892年に日本鉄道が買収しました。1895年には後に常磐線となる日本鉄道海岸線が友部まで延伸し、既に開業済みの友部〜水戸間を経由して路線を北に延ばしていきました。
 第二次大戦中は、常磐方面からの貨物列車迂回ルートとして複線化する計画もあったようですが、敗戦により実現しないまま立ち消えになっています。
 電化にあたっては、筑波山麓にある地磁気観測所の存在がネックとなりました。観測結果に影響を与えないようにするには、同観測所から30Km園内では直流1,500V電化が行えません
 このため、小山〜小田林(おたばやし)の間にデッドセクション(交直境界の無電区間)が設置され、以西は直流1,500V以東は交流20,000V(50Hz)で電化。ここを通過する際、電源切り替えに伴い車内の照明や空調が一旦落ちます(最近の車輌では照明が落ちないものもあります)。知らずに乗っていて驚く乗客もいます。
 なお、小山駅構内に入らずに東京方面に行けるよう水戸線〜東北本線を直結する短絡線が設けられ、直通貨物列車や準急(後に急行)「つくばね」などが使用していましたが、近年は使用されることもなく、架線が撤去され、草に埋もれた状態で放置されています。

使用車輌、列車について
 電化前は、朝夕のラッシュ時は蒸気機関車牽引の客車列車、気動車普及後は日中の閑散期にキハ25系が2〜3連で運用されていました。全国的に気動車準急が普及していた頃には、水戸線にも準急「つくばね」が設定され、下館駅で水戸方面行き編成と真岡線・真岡方面行き編成の分割・併合が行われていました。
 電化後は、交直両用の401系403系が導入され、1980年代までEF80牽引の旧客(旧型客車)普通列車も設定され、電車とは異なる風情を堪能できました。
 東北新幹線開業までは、勝田〜上野(勝田〜結城は普通扱い、結城で小山行きディーゼル各停に接続し、結城〜上野は急行)を直通する便利な急行「つくばね」453系)も1往復ですが走っていました。
 その後、一時期は試験的に快速も設定され、時間短縮が実現しました(下館〜小山約15分)が、運行時間が中途半端だったこと、運転本数が少なかったこと、通過駅周辺自治体から「通過するとは何事だ」といった反発もあり、わずかな期間で消滅しています。
 貨物列車は近年までわずかに残っていましたが、既に廃止。現在は交直両用の415系電車による普通列車(無人駅に停車しない列車もあり)と、485系臨時快速が走ります。このところステンレス車体の415系1500番台を見かけることが多く、鋼製415系を出会う機会は随分減りました。

現状について
 良くも悪くも、10年前と比較してもほとんど変化がない路線です。
 問題は、使用車輌も変化がないことで、いまだに現役の403系や、415系の初期型などは、現行車輌を見慣れた目には陳腐化が隠せなくなりつつあります。
 小山で接続する宇都宮線は、長らく使用されてきた115系がE231系へ置き換わり、下館から分岐する真岡鐵道も関東鉄道も新世代車輌が導入されているので、さすがに見劣りが……。

 朝夕ラッシュ時は最短20分ごと、日中は約30〜60分ごとに列車があります。下館〜小山の区間列車もあります。
 朝夕は水戸方面への直通列車が多い一方、日中は友部乗換となる列車が多くなります。友部で水戸方面(常磐線下り)列車への乗換は同一ホーム上で行えますが、水戸からの場合は跨線橋を越えることになるので注意が必要です。

【始発列車】
・上り……下館 5:05発→小山 5:23着
・下り……小山 5:25発→下館 5:43発→友部 6:22着

【最終列車】
・上り……下館 22:46発→小山 23:05着
     下館以東/勝田 22:10発→下館 23:23着(下館止まり)
・下り……小山 23:11発→下館 23:29着(下館止まり)
     下館以東/小山 22:08発→下館 22:31発→勝田 23:39着

 下り最終列車で下館以東へ向かう列車は、以前よりも運転時刻が繰り下がっています。

 2005年7月、老朽化した403系や鋼製415系の置き換えのため、そして「つくばエクスプレス」への対抗策として、やっと交直両用の新形式・E531系の導入が始まりました。しかし、水戸線での運用はまだです。
 朝の通勤通学ラッシュ時、下館〜小山の混雑は(列車にもよりますが)相当なものがあります。最も混雑する下館7:30発の小山行きなど、どう考えても7両編成が適正ですが、相変わらず4両編成(415系1500番台/ロングシート)のまま。
 しかも、時折ですが鋼製415系のセミクロス車が入ってきて乗客を苦しめます(身動き取れない程に混雑しているのに、セミクロスだと車内の移動が円滑に行えず、3扉車なので乗降にも余計に時間がかかる)。
 7両編成が無理なら、せめてE531系5両編成(3両はセミクロス車だが、4扉なので乗降は比較的スムーズ)が乗り込んで来るだけでも随分乗客サービス向上になる筈です。

今後の課題について
 今後ほぼ並行するルートで高速道路・北関東自動車道が開通すると、水戸〜宇都宮の高速バスが登場しかねないなど、とにかく不利な材料が増えます。
 また、並行する国道50号のバイパス整備が進むと、従来以上にクルマ利用への流出が増えてしまうことも懸念されます。
 ジリ貧になる前に、打てる手を打って、先々への布石とすべきだと考えます(どうもJR東日本の施策を見ていると、手遅れになってからやっと動くような感じがして、沿線住民として不安ですし不満を感じます)。
 思い切って下館〜小山間を複線化して、快速運転も復活させる……というのがベストかも知れません。

【課題:使用車輌の改善について】
 E531系の導入が進めば、やがて旧式化した403系や415系初期型は淘汰されていくのでしょうが、ステンレス車体の415系1500番台はまだ車歴が浅く、今後も継続使用することになるでしょう。
 ここで問題になるのは、415系1500番台の走行性能です。車体は211系と同じながら、足回りは鋼製415系と併結するため、あえて旧式の415系と共通の機器を搭載しているのです(ただし、台車は211系と同じ空気バネのボルスタレス台車で乗り心地はいい)。
 しかし、併結相手となっていた鋼製415系が淘汰されてしまうと、走行装置を共通化しておく意味がなくなり、旧態依然とした走行性能のまま放置するのは不経済となります。
 そこで、この機会にE531系と併結はしないまでも、走行装置の更新により同等の走行性能へとの改良すべきでしょう。
 また、現在1500番台はほとんどがロングシートなので(7両編成はセミクロスシート車がある)、転換クロスシート(それが無理でも、せめて快適な新型セミクロスシート)への換装などによる居住性改善も併せて実施すべきだと思います。
 朝のラッシュ時はともかく、日中以降の時間帯はロングシートが必要なほどには混雑しません。だからこそ、乗客が「快適だ」と感じるような車内設備を整えておき、「また利用したい」と思ってもらうことが肝要となります。

 そういえば、宇都宮線・高崎線の211系にもグリーン車が導入されることに伴い、グリーン車が組み込まれる編成からはサハ211が同数(2輌)「引き抜かれる」ことになります。
 この余剰サハを電動車改造、またはサハのまま、415系1500番台の4輌編成に組み入れて5輌化するというのはどうでしょうか。サハのままの場合は、電動車ユニットの改良を行わないと走行性能が低下します。
 
 ところで、1985年の科学博に合わせて新製された415系700番台も、何らかの形で残存するんでしょうか。

401系
低運転台のクハ401。153系同様、途中から高運転台に生産が移行したため、それ以前の生産型は低運転台として分類され、異彩を放っていた。「つくば博」に合わせて新塗色(青帯の位置に注目)になった姿も見られたが、既に全廃。


403系
クハ401-55。わずかに残る403系は、1985年開催「つくば博」に合わせて冷房化改造も受け、老体に鞭打っての活躍が続いている。制御車はクハ401でも、電動車ユニットは415系という混結編成が多い。E531系の増備が続けば、やがて廃車される運命にある。


485系
旧「ビバあいづ」編成の485系(K40編成)。現在は波動用として勝田車両センターに配備されていて、臨時快速「佐野アウトレット」号として水戸線にも入線する。他にK60編成が日光行きの臨時快速として入線する。


415系1500番台
クハ415-1601。ステンレス車体の415系1500番台は、E531系大量導入後も継続運用。4両基本編成はロングシートのみでローカル運用には向かないので、セミクロス化(混雑対応として1+2列にする手もあり)や転換クロス導入など、居住性の改善を期待したいところ。


415系500番台
クハ411-524。鋼製車体の415系には、セミクロスの0番台、シートピッチを拡大した100番台、ロングシートとなった500番台、つくば博向けの輸送力強化のために4両編成を7両編成化するために増備された700番台(セミクロスだが車端部はロング化)がある。


EF80
かつて水戸線や常磐線で旅客・貨物の牽引に活躍していたEF80。写真は1984年1月15日、下館駅4番線に停車中の「水戸線95周年号」(下館〜水戸間を往復運転/客車は43系)。ほんの20数年ほど前までは日常的に見られた光景だった。


EF81
EF80の後継機として開発された、代表的な交直両用電気機関車・EF81。写真は1986年頃の冬、下館駅の近くで撮影。水戸線には近年まで貨物列車が1往復残っていたが、今では廃止されてしまい、EF81の姿を見ることは少なくなった。


デカ目の403系
初期型で大型ライトが特徴的な403系。今でもまだわずかに残存車輌が走り続けていたと思うが、今度の新型・E531系の導入が進めば真っ先に廃車となることが予想される。


夕陽の415系
1986年頃の冬、下館駅近くで撮影した415系。ピントはまるで合っていないが、丁度夕陽を背にした構図で撮影できた。この光景は、今でも変わらずに日々繰り返されている。


485系やすらぎ
2000年1月16日、下館駅で偶然出くわした485系「やすらぎ」。水戸線には笠間稲荷と笠間焼で有名な笠間があり、水戸方面と宇都宮・高崎方面を短絡する路線でもあるので、時折思わぬ車輌が入線してくる。


【課題:スピードアップ、快速復活について】
 現在、水戸線では95km/h運転を行っているのですが、今後の高速道路開通を前に120km/h、130km/h運転の実現を期待したいところです。
 軌道の強化や信号の改良が必要となり、相応の費用も発生しますが、先手を打って投資すべきでしょう。
 コストの問題などでそこまで速度が出せないというなら、せめて駅での対向列車待ち合わせを極力なくすよう、ダイヤを工夫する必要があります。
 「対向列車待ち合わせのため、6分停車します」って、じゃあ列車のダイヤを最初から6分後にしても良かったんじゃないの? と思うのは人情です。この待ち合わせ時間は、体感的には2倍にも3倍にも感じ、特に一般のお客さんには(理由と必然性が分からないだけに)苛立ちの元でしかありません。
 単線の路線なので対向列車待ち合わせは避けられませんが、ダイヤの工夫で極力解消してもらいたいものです。

 また、快速運転の復活もぜひ検討すべきでしょう。どうもJR東日本としては乗り気でないようですが、この手の乗客サービスは目に見えない形で「利いてきます」から、早めに手を打つべきです。
 実現に当たっては、次ののような案があり、必ず大きな駅では各停と緩急接続を行って通過駅の利便性も確保するようにします。

 ・快速:水戸方面から全線で快速運転。
  (停車駅:水戸、友部、笠間、岩瀬、下館、結城、小山)
 ・区間快速:水戸方面からの直通で、下館〜小山間のみ快速運転。
  (停車駅:水戸、友部、笠間、岩瀬、下館、下館〜小山は各駅停車)
 ・区間列車:快速補完用に下館〜小山間の区間列車を拡充し、快速との接続を強化する。


 なんなら、今の時点で東結城、小田林通過列車を「区間快速」と命名して、上記「区間快速」を「快速」、「快速」を「特別快速」と命名しても良いのです。
 重要なのは、乗客や潜在需要である人に「あ、なんか速そう」と思わせることなんです。まず利用してもらわないことには始まらないので、イメージ戦略も重要です。
 で、特に普段乗らない人が利用したとき、乗った車輌がくたびれた旧型車であるよりは、快適な新型車である方が心証が断然良くなります。
 こうした細かいことの積み重ねが、10年、20年後に「利いてくる」のです。

【課題:増発について】
 現状だと日中や夜間などに運転時間が空いてしまう時間帯がありますが、これを解消する努力が必要です。
 真岡鐵道の軽快ディーゼルカーが小山直通を果たすようになれば、現行の運転本数に乗り入れ列車の本数を上乗せすることも可能ですし、直通列車を現在空白の時間帯に設定することで実質的な増発とすることができるでしょう。
 また、(他路線との調整が必要となりますが)パターンダイヤ化(毎時00分と30分に列車が来る、といった明瞭なダイヤ)を実施して、30分に1本は必ず列車が来る、というのを売りにしても良いと思います。
 とにかく、「待たずに乗れる」「時間が読める」ことは公共交通にとって最大の武器です。際限ないクルマ利用を食い止め、一人でも多くの乗客を「囲い込み」、新規乗客の確保を行うためにも、ぜひ効果的な増発を期待します。

【課題:小山駅での接続改善などについて】
 管轄の違いが問題なのか、小山での新幹線や宇都宮線との接続は必ずしも良いとは言えません
 水戸線が到着する目の前で宇都宮線快速が出発するとか、宇都宮線快速で都内から戻ってくると、小山駅に入線したときには水戸線が出発している(しかも、次の列車まで40〜50分は時間が空く)など、素人目にも「皆が分かっているのに、何故いつになっても改善できないんだろう」と思える不備が少なからずあります。
 このため、下館辺りの住民でも、水戸線をアテにせず、小山までクルマで出てしまうという人数が結構いるのが現実です。
 おそらく、先述のような接続不備は、到着時刻や発車時刻を5分変えれば、ほとんど解決する筈です。

 また、現状では水戸線の終列車(小山2311発で下館2329着)に間に合わせるためには、上野2148発→小山2307着の普通列車に乗らないと間に合いません。
 しかし、これでは仕事を終えてから都内に滞在できる時間が短すぎます。せめて上野2220発(土休日は2219発)→小山2328着の通勤快速(土休日は快速)でも間に合うよう、水戸線の終列車は小山2330〜35発に繰り下げを行うべきです。

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