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1999年度
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省庁交渉 省庁交渉の記録


1999年度

環境庁
環境庁側出席者
@大気保全局大気規制課 排出規制係長 岩崎喜好
A 大気保全局大気規制課 総量規制係 相澤寛史
B 環境保健部環境安全課 保健専門官 長坂雄一

(窓口: 大臣官房総務課環境調査官室相談係長 司子三千代―欠席、TEL 5521-8214/FAX 3591-5939)

全国連側出席者
9名: 古谷杉郎、永倉冬史、老田靖雄、野沢実、名取雄司、西田隆重、外山尚紀、内田正子、糸山敏和



2000年6月7日(水)13:30〜14:45 合同庁舎第5号館共用第4会議室

1. 昨夏EUが2005年までのヨーロッパにおけるクリソタイル全面禁止を決定し、アスベスト産出=輸出国であるブラジルもEUの決定にならう意向を発表している。アスベストの禁止に向かう国際的潮流はもはや確定したと言える。
アスベスト禁止に向けたこのような国際的な情勢を踏まえ、日本においてもクリソタイルを含めたアスベストの輸入・製造・使用等の禁止を早期に実現するようイニシアティブを発揮されたい。国際的な情勢に関する貴省としての認識もお聞かせ願いたい。

【回答】
当庁に何ら権限が与えられていない問題なので、無理かなと。ただし代替化に関しては、(建築物)解体時の排出等の届出の際に低減に努めていきたい、まあ普及・啓発活動等があるのかなあと考えている。

2. 大気汚染防止法に基づく建築物解体等に係るアスベスト飛散防止対策について

@ 特定粉じん排出等作業を行う建設工事(特定工事)の届出件数および「(推定)カバー率」、計画変更命令、作業基準適合・作業一時停止命令、報告・検査の各件数、および、各々の違反に係る罰則適用件数を示されたい。

【回答】 (「平成9年度大気汚染防止法施行状況調査について(お知らせ)」―これは環境庁のホームページでも公開)を示して 特定粉じん排出等作業実施届出数は平成9年度に757件。

A 1999年2月に出版された『建築物解体等に係るアスベスト飛散防止対策マニュアル』(監修: 環境庁アスベスト飛散防止対策研究会、発行: 富士総合研究所)の普及、活用状況等についてお聞かせ願いたい。

【回答】 これについては編集の時にご意見等もいただきそれを踏まえて作らせていただいたもので、昨年
3月に(株)ぎょうせいの方で印刷したが(たしか2千か3千くらい)、かなり売り切れになった状況(現在は再版されている)。けっこう問い合わせ等がある。自画自賛ですが比較的よくまとまっているのかなということで、先ほどの啓発も含めて、解体作業には届出が必要だということ、届出の仕方等も示しているので、けっこう活用していただいているのかなと思っている。

* 文京区さしがや保育園の経験から、東京都との話では、マニュアル等を環境担当部署だけでなく営繕担当部署にも配布するというような話がされたことなどを紹介して、周知徹底の具体策の強化を要望した(文京区の営繕、環境、保健各部署の担当者いずれもこのマニュアルを知らなかった)。
「環境庁でも、アスベストの測定技術者を育てるということで研修会をやっている。地方自治体の担当者が毎年40名くらい受講しているが、そういうときにご提案いただいた啓蒙等をやっていこうかと思う。」

B 昨(平成10)年度の石綿飛散防止対策施策として、「海外における石綿規制の動向」および「石綿製品の代替化の動向」に関する委託調査が実施され、「平成10年度石綿飛散防止対策推進基礎調査報告書」((株)富士総合研究所)としてまとめられているが、「海外における石綿規制の動向」に関しては、ヨーロッパの禁止に向けた動向、アメリカの現実の使用量等の最新情報に乏しく、内外の石綿産業の情報に偏重しているように思われる。公正な立場から最新の国際動向を継続してフォローし、公表されるようにされたい。

【回答】
主観的な[聞き取れず]は環境庁の立場からして極力避けたいということで、「禁止に向けた動向」というよりは確定した事実を記載しているのでしかたない面もあるのかなと思っている。新しい情報が入ったら私どもの方にも提供していただければありがたい。

* 回答内容の趣旨よりも、日本石綿協会がかつて発表したかなり古い情報・データを寄せ集めただけという感をぬぐいきれないことを指摘するとともに、現在まさに動いていることを考えれば、海外情勢をフォローし、報告書になることは重要なことなので継続することを要望した。

C Bの「石綿製品の代替化の動向」の方も、建材製造事業者(団体)・建設事業者(団体)に対するアンケート調査以外は、あまり新しくない業界資料を整理しただけにすぎない。建材製造事業者(団体)・建設事業者(団体)に対する現状把握、指導を今後どう進めていくかお聞かせ願いたい。

【回答】
アスベスト関係の調査を12年度も何らかのかたちで行いたいと思っており、意見をお聞かせ願いたい。11年度調査においては、騒音・振動関係の届出の際に確認をとることを自治体に調査というかたちでお願いしている。 (先に示した)「大防法の施行状況調査」ということでだいたい法律がどのように施行されているかについての自治体からのデータは得られているのだが、排出の規制がかかってからから2年たってどれくらい業者がそのことを知っているのかを把握しようという目的で。このデータは大防法の関係の窓口に聞いている。アスベスト関係の窓口に届出に来る人は(規制の内容を)知っていてくるわけだから、それではダメだということで、工事を行うときに騒音や振動が出るときは届出をするわけで、その際にアスベストが使用されているかどうかちゃんと確認しましたかというようなことを聞いてもらうという調査。確認をとってもらうことによって、指導の効果もあったのではないかと思っている。結果については現在まとめている最中。

* とくに建設事業者(団体)に対する調査は興味深く、対策の推進にも役立つと考えるので、発展させてほしい旨を要望した。
* 平成11年度の調査としては、この調査だけとのこと。結果はまとまり次第提供を要請した。
「業者のヒアリングの結果があってそこの記述については業者の方から出さないでくれというところがあるかもしれないが、その場合はその分を省いてというかたちにしろ、出せるところは出していきたい。」

* 平成12年度の調査については、「今日お話をうかがってアイディアも頂戴しながら考えようと思っている」とのこと。

D 前回、昨(平成10)年度には、「札幌市と千葉市の協力を得て石綿の事前把握調査事業」を行ったとお聞きしたが、その結果をお聞かせ願いたい(報告書がまとまっておれば提供されたい)。地方自治体等による石綿の事前把握は重要な問題であり、調査の結果を今後どう生かしていくかについてもお聞かせ願いたい。

【回答】 「石綿使用建築物事前把握手法等調査報告書」というかたちでまとまった札幌市と千葉市の分のレポートを提供していただいた。 「届出され事業所とくに課税関係にかかる部分等もあってわれわれも心配したのだが、こういうかたちでデータは極力オープンにしようということで今回提供させていただく」とのこと。
これはどういうところにまわしているのかとの問いには、「まわしていない」。 「今後については、なるべくうまく使っていこうとは思うが、調べられたかどうかの判断がわれわれの方でいまひとつついていないこともあって、もし手法等について意見や提案があれば出していただければ、今後発展させていくことも可能である。」

E 大気汚染防止法上の解体等作業の届出の要件として、「延べ床面積500m 2以上、かつ、解体等する部分の吹き付け石綿50m2以上の、耐火建築物・準耐火建築物」とした根拠についてお聞かせ願いたい。

労働安全衛生法上の届出要件と同様、規模要件を満たさない吹き付け石綿除去作業についても対象とするようにされたい。

【回答】 石綿による大気汚染の防止という観点から、このような対象となった。50m2以上という要件は、実務上規制対象になるかどうかを外形的に判断できるようにした方が望ましいということもある。引き続き必要であれば見直しの検討もしていく用意はある。

★ とくに50m2以上という要件はなくすことを要望(東京都の公害防止条例では15m2以上、労働安全衛生法では規模要件はない)。このような対象要件を設定する根拠となった検討委員会の報告があったと思うが、報告書本体を提供できるか検討するよう要望した。

F 以下の点を含め、今後さらに対策の強化を図るようにされたい。
・ 囲い込み工事、封じ込め工事の場合もアスベストが飛散するので、負圧と集じん・排気装置の使用を明記されたい。
・ 1980年以降に施工された「岩綿吹き付け等」でもかなりアスベストを含有するものがあるので、その旨を周知・徹底して厳格な法令の適用を図ること。
・ 「特定粉じん等排出作業」に、すべての石綿吹きつけ建築物および石綿含有保温材、成形板等使用建築物の解体等作業を含めること。
・ 関係地方自治体と労働基準監督署で定期協議を実施し、現場レベルでの情報交換、連携を強化すること。
【回答】 この辺もこういう意見をひとつずつ検討させていただきたい。

* 施主に対する規制の強化、アスベスト・フェルト材を規制対象に含めることも要望した。

3. 「特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律(化学物質管理促進法)」が2000年3月30日に施行された。石綿対策全国連絡会議の意見(パブリック・コメント)が採用され、第1種指定化学物質(PRTR―排出量等の把握・届出等の対象)にアスベストが指定され、「製品の要件」に「アスベストを含有する製品であって、取扱いの過程で精製や切断等の加工が行われるもの」が加えられたことは歓迎する。

@ 同法施行に関連した通達・通知等があればお示し願いたい。

【回答】
今のところとくに出したものはない。次に予定されているのは、届出の内容、方法とかに関する主務省令―共同省令になると思う。解説書的なものは出すかもしれないが、通知、通達といったものは今後たぶんあまり出さない。

A 対象事業場の業種および数の見込みを示されたい。大気汚染防止法の「特定粉じん発生施設設置工場」との関係(重複状況等)についてもお聞かせ願いたい。

【回答】
アスベスト排出という観点からの対象事業場というのは、大防法の特定粉じん発生施設設置工場とほとんどイコールになる。したがって、その中でPRTR法の裾切り要件を満たす事業場が対象となる。
2-@でお渡しした資料で平成9年度は特定粉じん発生施設工場・事業場数が266となっているが、このうちのどれくらいが裾切り要件を満たすかということではまだ正確には把握していないが、取扱量のことを考えれば多くが対象になるのではないかと予測している。

* 特定粉じん発生施設設置工場以外に、アスベスト製品製造工場ではなくアスベスト製品を使用する事業場で対象となるところはなさそうかとの問いには、「おそらくないのではないか」。

B PRTR対象事業者が行うアスベストに関する排出量等の具体的把握方法についてお聞かせ願いたい。

【回答】
基本的には算出方法は事業者にまかされている。おそらく、アスベストの取扱量や出荷量、あるいは実測もされていると思うので、そういうものを組み合わせて算出されるものと考えている。全体としてのマニュアル的なものはお示しすることを考えているがアスベストの場合、実測値があればそれをたぶん利用できるかとは思う。

* 日本石綿協会でPRTRについて検討されていると聞いているが、「具体的に石綿協会と話してはいないが、業界団体でマニュアルを作るということであれば、それを使ってやっていただくことは全然問題ない。われわれが作るマニュアルは、ひととおり全体として使えるマニュアルとして作るので、その中で、このマニュアルはあくまで参考であって、業界独自のやり方等がある場合はそちらでやってかまいませんという性質のものになる。」

C PRTR対象業種に含まれないこととされた建設業等、対象業種であっても裾切り要件からもれる事業者(常用雇用者20人以下、年間取扱量0.5トン未満)、アスベスト含有ブレーキ・ライニング等装着車輌の道路走行等や自然界に存在する非点源の排出源等から環境中へのアスベスト排出量について、状況をどのようにお考えか、また、どのように把握されるかお聞かせ願いたい。

【回答】
非点源の推計方法については、正直に言って非常に難しいと思っていてまだ十分検討していない。今後どうしていくか考えていくというところ。第1回は平成13年度分をおそらく14年の後半に発表しなければいけないことになると思われるので、13年度中に何らか考えておかなければいけないということになる。

D 化学物質管理促進法に基づくMSDS(化学物質等安全データシート)は、発がん物質については指定化学物質を0.1質量%以上含むものとされており、一方、労働安全衛生法に基づくMSDSは発がん物質についても1%超含有するものを対象としており、現場で混乱が生ずることが懸念される。労働省に対して、発がん物質については0.1質量%以上含有でそろえるように働きかけられたい。

【回答】
基本的にMSDSは通産省の所管になっている。0.1%の話はくわしく聞いていないが、労働省と連携をとってMSDSの運用にあたって現場で混乱が起こらないようにしていくということは聞いている。

E アスベストに関するMSDSには、肺がん、悪性中皮腫等を引き起こす発がん性があることを明示し、アスベストの含有率を表示させるようにされたい。

【回答】 発がん性がある旨や含有率は表示される方向であると聞いている。

F 化学物質管理促進法に基づく「指定化学物質等管理指針」(2000年3月30日付け環境庁・通商産業省共同告示)では、第2の2「化学物質の使用の合理化対策」の(1)のイ「代替物質の使用及び代替技術の導入」として、「指定化学物質等取扱事業者は、指定化学物質等の使用の合理化に資する代替物質の使用及び物理的手法等の代替技術の導入を図ること」とされている。この規定を活用して、アスベストの代替化を促進するようにされたい。

【回答】
化学物質管理指針というものは、事業者がそれに留意して実質的な管理を行うための指針という位置づけのものであって、この規定によって行政が強制的な措置を講じることができるといった性質のものではない。PRTRによる排出量の把握や公表などと相俟って事業者が実質的な対応を図っていくことを期待するしかない。(化学物質管理指針は環境庁と通産省の共同の告示)

4. 一般環境中のアスベスト濃度のモニタリングに関して、以下の対策を実施されたい。
・ 大気汚染防止法に基づく届出要件との整合化を図られたい。
・ 建築物解体等作業によるアスベスト飛散状況を把握・監視するシステムを確立されたい(施工事業者への濃度測定の義務づけ、濃度基準の設定、自治体によるフォローアップ等)。

【回答】 モニタリングについていいシステム等をご提案してただければ検討していきたいと考えている。
・ 同様に、廃棄物処分場におけるアスベスト飛散状況を把握・監視するシステムを確立されたい。

【回答】
ご存知のとおり阪神・淡路大震災の時は非常に高い値が出たが、比較的安定しているということで現在モニタリングはやっていない。今のところやるつもりはない。
・ 大気汚染防止法による特定粉じん発生施設設置工場の敷地境界濃度の事業者による測定定結果の現状およびそれに対する評価をお聞かせ願いたい。

【回答】
現在はあくまで自主測定義務ということなので、現在のところ環境庁では把握していない。ただ、場合によっては都道府県等がそういうデータを把握しているかなあと思うので…。

* 東京都で話したら、業者が測定結果を届け出ている例もあるので、今年度集めてみたいということを言っていたと紹介。
・ 一般環境におけるリスクの考え方から敷地境界基準を見直し、また、電子顕微鏡を使用する測定方法を導入するなどの見直しが考えられないか。

【回答】
敷地境界基準については、限ったものではないということで、方向性が定まれば、他の物質も含め見直しの方向になるのではないかと考える。測定方法については、導入にあたってのコストも問題になると思われるので、導入が必要であると考えられるようであれば、安価になって普及している等のコストの問題もクリアできれば…

* 現在の環境中の入手可能なモニタリングデータは、一般環境値とと特定粉じん発生施設の敷地境界値だが、今後の主要な排出源を考えると建築物の解体・改修工事や廃棄物処分場のモニタリングが重要と考えざるをえず、またそのようなデータがないとPRTRの国による推計分も不十分なものとならざるを得ないことから、モニタリングの強化・充実をぜひ検討するよう要望した。電子顕微鏡についても活用のための基礎データの収集が必要ではないかと指摘。

* 建設省と環境庁共管で建設リサイクル法が制定されたが、作業主任者の部分がほとんどが建設省の方に行ってしまっている。一番問題となる解体作業でどのような作業を要求するのかについて、ぜひ環境庁が関与するようにされたい。また、同法の罰則等を強化していただきたいと要望(「建設省と協議はしている」、大気規制課の担当者としてアスベスト問題についても意見を書いたが…ということではあるが)。
また、建設リサイクル法によって、特管物に該当しないアスベスト含有建築廃棄物が中間処分場に大量に流れ込むことになるのではないかと指摘した。



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