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1997年3月2日    

 通商産業省生活産業局窯業建材課長 様

アスベストについて考える静岡県民の会    



前略

 私たちは、近所の静岡県職員住宅の取り壊しをきっかけとして、アスベスト問題に関心を持ち、今まで、必要と思われるアスベスト対策を県や市などに求めてきました。

 県には、昨年1210日、同封の知事宛ての要望書を提出しました。

 この中にもありますように、わが国が、他の欧米諸国に比べ、極めて大量のアスベストを使用していることから、この量とわが国の面積や人口密度から考えて、将来、アスベストによる被害者が、相当多く発生する結果になるのではないかと心配しています。

 今まで、アスベストの代替化が進み、アスベスト製品は使用されなくなっていると聞いていたこと、アスベスト含有建材の含有率が年々下がってきていること、また、アスベスト製品製造工場等の数も少なくなってきていることから、今後アスベストの使用量は急速に減少してゆくのだろうと楽観的に考えていました。

 ところが、昨年の統計により、1995年の輸入量が 191,475トンと聞き、欧米諸国の使用量との隔たりがますます大きくなっていることに驚くとともに、このような状況が、なぜいつまでも続いているのだろうかという疑問を強く感じました。

 このような経過から、代替化促進のため、今まで国で行われてきた政策について調べてみたところ、平成7年度環境庁委託業務結果報告書『構築物の解体・撤去等に係わるアスベスト飛散防止対策について』には、随所に、これまで、関係省庁などで、アスベストの代替化を促進するための取り組みがなされてきているという内容の記述があることがわかりましたが、具体的にどのような対策がなされてきたのかという点がはっきりとつかめませんでした。

 このため、1月12日、環境庁大気規制課に、同封の文書をお送りし、アスベストの代替化の政策についてお聞きしています。

 現在、同課からの回答を待っている状況ですが、通産省においても、以前、アスベストの低減化と代替化促進のため、調査、研究などが行われているとお聞きしているので、それらを中心として、別紙の3点について質問させていただきたいので、お答えいただきますようお願い申し上げます。

 また、これらの質問に対する回答方法と時期などについて、お受け取りいただいた時点での見通しを、あらかじめお伝えいただきますよう、併せてお願い申し上げます。

草々    



(別紙)

  1. アスベストの代替化促進のための施策について

    1. 通産省において、今まで、アスベストの代替化についての調査、研究、または、代替化促進のための事業などが行われたことがありますか。

      予算措置を伴っているものと、予算措置を伴わないものに分け、その事業のすべてを教えて下さい。

    2. 通産省から、関係団体や地方公共団体等に対して、アスベストの代替化を促すための通達などの文書が出されたことがありますか。

      あればその文書をすべて教えて下さい。

    3. 特に、アスベストの代替化に関し、建設業者団体や一般国民に向けて、ちらしやパンフレットなどが作られたことがありますか。

      作られているようであれば、それはどのようなもので、どのような人達を対象にして、どのような方法で配布されたのか教えて下さい。

    4. 今後、アスベストの代替化を促進するため、何らかの対策をとる予定がありますか。

    5. アスベストの代替化の必要性について、また、代替化促進のための対策の必要性について、どの様にお考えであるか、貴課の見解を明らかにして下さい。

  2. アスベストの使用状況について

    前述の報告書にも書かれているように、今まで、各方面で、アスベストの低減化、代替化が進んできていると言われています。

    具体的な例としても、県などに要望した経過において、アスベスト含有の建材は公共団体等の工事ではほとんど使われていないと聞いていること、静岡県で最近建てられた 強度の耐震性を誇る高層建築物である県庁別館においても、アスベストを含む建材は一 切使用していないと回答されていること、また、静岡市、浜松市などでも、今はもうア スベスト製品は使用していないと回答していること、さらに、静岡県、静岡市、浜松市、 東京都などにおいて、アスベスト製品を製造する施設等の数は相当減少してきているな どの事実があげられます。

    しかし、それにもかかわらず、依然として19万トン以上のアスベストが輸入されているということになると、その輸入された大量のアスベストによって、どこで、何が作 られて、何に使われているのか、私たちには全く理解することができません。

    この点について教えていただきたいので、以下の3点から、約20万トンに及ぶアスベストの行方がはっきりとわかるように、アスベストの使用状況についてご説明下さい。

    1. 輸入されたアスベストによって、どのような施設で何が製造されているのか

    2. 製造された製品がどこに販売され、我々の日常生活のどこに使われているのか

    3. 現在の時点で、貴課が把握している、アスベストの輸入、製造、使用状況などについての統計、およびこれに関連した情報のすべて

  3. JISについて

    通産省工業技術院において取り決められているJISは、わが国における代表的な規格の一つであり、公共機関などにおいても、建築工事をはじめ、材料選定にあたっては 選定条件の一つとして求められていることが多いと思いますが、この規格の解説の中で、 アスベストの低減化について、

    「石綿は限られた天然資源であり,資源の有効利用の観点から,品質水準を維持しながら石綿使用量低減化の研究が重ねられている。」 と書かれています。
    (『日本工業規格 繊維強化セメント板』平成7年1月31日発行  JIS A 5430-1995解1頁)

    貴課の所属する生活産業局の職員の方が、このJIS改正原案作成委員会の構成員の一人として審議に加わったとされている経過からすると、貴課におけるアスベストの低 減化の理由は、この解説の中にある「資源の有効利用の観点から」という理由と同じで あると考えられます。

    しかし、このような低減化の理由は、アスベストの代替化という政策とは共存し得ないため、このアスベストの低減化について書かれている部分が、貴課も含め、通産省全 体の共通する見解として考えていいかどうか、また、他の省庁で行われているといわれ ている低減化、代替化の理由と同じなのかどうか確認する必要があると思います。

    また、さらに基本的な問題として、労働省からの通達(昭和51年5月22日付け労働省 基発第408号 「石綿粉じんによる健康障害予防対策の推進について」)の中で「石 綿の代替措置の促進」として、「石綿は、可能な限り、有害性の少ない他の物質に代替 させる」と求められているアスベストが、貴省において、わが国を代表する規格であるJISによって、公的に規格品として認められているのは、この労働省からの通達に反することにならないのかどうか、また、アスベストの代替化に関し、省庁間で、行われている政策とそのような政策が行われている理由に矛盾がないのかどうか確認したいので、次の点について、貴課の見解を明らかにして下さい。

    1. アスベスト低減化の理由

    2. アスベスト代替化の理由

    3. 貴課においてアスベスト代替化の政策が行われている場合、その政策は、アスベスト製品がJISに定められていることによって、妨げられる恐れはないと考えられるかどうか

 なお、この件について、同一の物質に関し、代替化による使用削減とJISによる品質保証が、同じ課で並行して行われているとは考えられないので、JISについては、貴課の担当ではないと判断して質問内容から除外してあります。

 もし、双方とも貴課が担当されている場合には、これらの政策に矛盾がないのかどうか説明して下さい。

 また、アスベスト製品をJIS製品に含める妥当性、前回のJIS改訂によって、アスベストを含有する建材の規格の名称から「石綿」を削った経緯、特に、アスベストのように、危険性を指摘した通達まで出され、各省庁から強く代替化が求められている製品で、JISによって国が品質を保証している製品が、他にどの程度あるのか、併せてご回答下さい。

 これについては、事務分担がはっきりした時点で、必要があれば、後日改めて質問させていただきたいと思います。

 現在のところ、質問は以上です。


 お忙しいところ恐れ入りますが、なるべく早急に文書または口頭でご回答いただきますよう、どうぞよろしくお願い申し上げます。


論点1.2.3.4につづく    回答をみる



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