要綱案ができてきて、法律の条文化をする。どういうことで立案するか考える。他の法令の場合には前例があるので、お手本にする法律がある。しかし、情報公開法の場合には全く前例がないといっていい。できるだけ同じような組立にして、自分なりに分担して書いている。
そこで全部の言葉を吟味する。
法律用語として、要綱案と同じ意味で使われているか、「法令検索システム」を使って、コンピューターで調べる。これは、全法律、全省令、政令についての検索が可能である。
「行政の監視・参加」3つの組み会わせがあるか調べる。引き算もできる。「AかつB」もできるし「AであってBでない」も検索できる。
目的の素案ができると、法律の専門家もいるし、法制局の専門家などからの意見も聞きながら、何回も書き直して、条文として正確なものであるかどうか検討する。他の法律の言葉を当てはめてみる。研究論文など必要な箇所を探し出したりして、調べて書き直す。
各省庁では、初めて見る条文で、いろいろな意見を出してくる。数千を越える質問が出る。それに対して全て答える。そういう形で作業をしている。
(自治体の条例は参考にしないのか)
条例などの言葉の使い方は甘い。不明確のまま扱われているので、あまり参考にならない。言葉を大切にする。社会科学だ。内在する意味、外縁の意味まで考える。概念が曖昧であれば全部おかしくなる。
「知る権利」についても、あまりにも曖昧な概念であるため入れられなかった。そのために条例でも前文だけにしか書かれていない。権利の範囲を確保する概念としては使えない。それに憲法解釈上の問題を法律で解決していいのかという問題もあった。
(「知る権利」についてはそのような考え方から要綱案でも入れられなかった。しかし「環視と参加」は議論を経てあえて入れられたものだ。それを法案に書き込まなかったというのは、「知る権利」を入れなかったこととは問題が別だ。)
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