PRTR意見2−現行法令との整合性の観点から (アスベストについて考える会)
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<該当個所>
「PRTR及びMSDS対象化学物質の選定方法について(案)」の、「T. 選定物質の基本的考え方」について
<意見内容>
「PRTR及びMSDS対象化学物質の選定方法について(案)」の「T.選 定物質の基本的考え方」1ページの下にある「以上の考え方に従い、一 定の基準の下に対象化学物質を選定する必要があると考える」の部分 に、
1 「この場合には、大気汚染防止法をはじめ、環境の保全上の目的 から制定されている他の関連法令で規制対象となっている物質を優先的 に考慮の上、選定する必要がある。」
との内容を加えるべきこと
2 「また、目的は異なるとしても同様の制度がすでに存在する場合 には、それらの制度との整合性を重視して対象物質が選定されることが 必要である。」<理由>
1 について
この法律は、環境の保全上の支障を未然に防止することを目的として いる。
2 について
これと同様に環境保全を目的として定められた法律によって規制対象 となっている物質は、対象物質から除外されることがないように配慮す べきである。
このことは、これまでの化学物質に関する政策や環境保全のための政 策の経過を踏まえれば当然のことであると考える。
全体的な法規制とあいまって統合的な化学物質対策が推進されること が大切であるとの認識のもとで、すでに規制を受けている物質を優先し て検討対象とするとの原則を明確としておくべきである。
大気汚染防止法の目的には、「有害大気汚染物質対策の実施を推進」 「国民の健康を保護するとともに生活環境を保全し」とあるように、こ の法律において目的としていること同様の目的となっている。
大気汚染防止法で有害な大気汚染物質と考えられて規制対象とされて いる物質を、対象物質に選定するべきことは、これまでの環境行政の中 で重点的に推進されてきた有害物質対策の成果を踏まえて、これと相互 に補い合いながら有効な環境保全のための対策を図ろうとする上で有益 なことと考えられる。
それと比較して、それぞれの制度が個々ばらばらで対象となる物質が 選定されることになれば、総合的な、実効ある有害物質対策を期待する ことは難しいこととなる。
そのような事態を避けることは、新たな制度を構築する場合に、まず 第一に考慮されなければならないことであると考える。「事業者による特定の化学物質の性状及び取扱いに関する情報の提供 に関する措置」(MSDS)については、すでに同様の制度が労働法上の観 点から制度化されている。
これらはほぼ同一の制度であるし、後者がこれまでの取り組みの中で すでに定着している制度である点を考慮するべきである。
環境保全と労働者保護というそれぞれの直接の保護する対象と目的が 異なっているという違いはあるとしても、結果的には国民の健康を守る という究極的な目的のもとにこの制度が作られているということはいう までもないので、同一の制度が、異なる法制度の基にそれぞれ別の物質 を対象として共存するという、国民の目から見ればきわめてわかりにく い制度となることのないように、両者が単一の制度として機能するよう にするという方向性を打ち出しておくことは必要なことであると考え る。
(1999.12.18)